第一の提案は、「日中企業の提携によるグローバル化」の展開だ。世界に出て行ってビジネスをするという共通の目標ができる。中国企業は国内市場の成長を背景とした豊富な資金力を有しており、人民元高も追い風となってグローバル展開が本格化するだろう。しかし中国企業は世界に出ていくと国内とは違う法律体系、ビジネスルールの壁にぶつかるだろう。中国企業に欠けているのは海外でのビジネス経験であり、文化の違う国でのガバナンス力であろう。一方日本企業も決してグローバル化先進国とは言えないが、それでも1970年代から大企業を中心とした海外展開が進み、ある程度の経験を積んでいる。
日本の商社などは、海外での資源獲得と同時に当地のインフラ整備や雇用創出などにも力を注ぐので、海外における日本企業の信用力はかなり高い。日中企業のグローバル化における提携は、中国企業の資金力と日本企業の信用力の組合せになる。両国の社員が共通のビジネスに邁進するので、日中のビジネスマンの相互信頼が醸成されるだろう。また、思い切って合併してしまえばなおさら運命共同体になることができる。民間レベルでの深い交流は、政治的な対立を吹き飛ばし、日中関係の改善につながるだろう。