チャイナネット:今年の夏季ダボス会議で、日本の経済界関係者は李克強総理に中国の金融リスク問題について質問し、李総理から回答を得ました。日本の経済界と中国の指導者の面と向かった交流についてどのようにお考えですか。
高見澤:「政冷経熱」という言葉にあるように、これまでの日中関係は、政治関係が冷え込んだときでも、経済関係は政治に影響されることなく、友好な関係を保ちながら発展してきたことは歴史的事実である。今回の両国間の政治関係の影響が経済分野にも及ぶ事態になったことは、稀なケースではあるが、両国民にとってこうしたことも起こり得ることを知ったという意味で、良い教訓となったのではないか。
チャイナネット:中国は経済調整とモデル転換・グレードアップの時期にありますが、中国で投資する日本企業の投資分野、規模、地域と方式にはどのような新しい動きがありますか。
高見澤:近年、人件費や物価等のコスト上昇、中国政府による外資優遇措置の縮小、中国企業の技術力向上など、中国の投資環境が大きく変わりつつある。日本企業にとって、従来の輸出生産型基地としての中国の役割はすでに終え、新たな投資分野、投資方法に向けて、動き出さなければならない時代になっている。
中国の人口は日本の10倍、面積は26倍に達する巨大な消費市場としての潜在力を有している。この巨大市場を開拓すべく、これまで輸出中心であった製造拠点は内販機能を加えて製造販売企業へと業務を拡充し、新たな投資でも中国国内市場向けに研究開発を行うR&D拠点を設けるようになっている。
国内市場を見据えた場合、輸出にとって地理的に優位な東部沿海地域よりも、物流に便利な内陸部の大都市に拠点を構える方が立地としては有利であろう。
一方、日本の製造業の進出は一段落を迎え、中国のモデル転換や産業のグレードアップに合わせ、より付加価値の高い製品製造及び販売、物流・流通、金融、医療介護等サービス産業での対中進出が増えつつある。製造業のように大規模な工場建設が必要でない分、投資額の規模は必然的に小さくなる傾向にある。これが、ここ2年ほど日本からの対中投資金額(実行ベース)が大きく落ち込んだ原因ではないだろうか。