◇会談の再開
ロシアのラブロフ外相は21日、訪露した岸田文雄外相と会談した。双方は外務次官級による平和条約締結交渉の再開、ロシア外務省と日本の外務省、ロシア国防省と日本の防衛省による「2プラス2」の交流メカニズムの回復で合意した。両国の外相は約1年7ヶ月ぶりに会談した。
ラブロフ外相は、「露日の会談再開は、両国関係における既存の問題の解消を促す。ロシアは日本との全面的な関係の発展に尽力し、協議により両国関係の新旧の問題を解決する。ロシアは日本から、プーチン大統領の訪日の招待を受けている」と話した。岸田外相は、「今回の訪露は、露日が両国の平和条約締結交渉を再開したことを示す」と述べた。
第二次大戦後、露日は現在まで平和条約を締結していない。これは南クリル諸島(日本名・北方四島)の主権を巡る問題により、両国が激しく対立していることが原因だ。南クリル諸島はロシアに実効支配されているが、日本はその主権を主張している。
岸田外相は、両国関係が停滞するなか訪露した。2014年3月より、日本がウクライナ問題で西側諸国の対露制裁に追随していることで、両国関係が悪化し、高官の交流がほぼ途絶えていた。
◇プーチン大統領の訪日を促進
岸田外相の今回の訪露のタイミングは、やや予想外だった。ロシアは最近、対日政策で強硬な姿勢を示している。ロシアの排他的経済水域内における日本の漁獲を禁止し、メドベージェフ首相ら複数の高官が相次いで係争中の島嶼を視察し、日本に対する手を緩めていない。
ロシア科学院極東研究所日本研究センター長のワレリー・キスタノフ氏は、「日本は島嶼の係争でロシア側に不満を持っているが、ロシアとの対話やプーチン大統領の訪日を拒んでいない。これは日本が島嶼問題で意義のある進展を求めているからであり、それができるのは両国の首脳だけだ」と分析した。
日本のアナリストは、「領土問題の解決は安倍政権の目標であるが、この問題の解決には多くの困難が伴う。プーチン大統領の歴史的な決断に期待するしかない」と話した。ロシアはこのほど、係争中の島嶼で大規模な投資・建設計画を推進しており、日本の緊張と焦りを強めている。ゆえに安倍政権はプーチン大統領の年内訪日を促進し、領土問題の実質的な交渉の再開を目指している。共同通信社によると、安倍首相に近い消息筋は、「岸田外相が訪露しなければ、プーチン大統領の年内訪日は不可能となる」と述べた。