音を聞いただけで故障を発見
2004年、当時56歳だった今本さんは、同社の初代工場長に就任。中国人のスタッフと共に努力し、同社を中国最先端の技術を誇るフィルター生産企業に育て上げた。
「中国に来る前は、こんな経験ができるとは思ってもいなかった」と今本さん。現在は、工場長の立場を退き、技術顧問として働いている。「フィルター業界にずっといるが、まだ努力が必要」と慢心はない。
「18歳で高校を卒業してからまず、自動車関連の企業で6年働き、その後、フィルター企業に就職。52歳まで続いた」。フィルター業界においては、右も左も分からなかった今本さんが、時間をかけて今ではトップレベルの技術者になったことに関して、「努力と自信が大切」と語る。
東方副総経理が、「現在、当社の作業場の生産部長の半分以上は、今本さんが育ててくれた。とても感謝している。それらの中堅技術者は、今でも分からないことがあれば今本さんに聞いている。今本さんは本当にすごい。機械の音を聞いただけで問題がないかがわかってしまう」と称賛すると、今本さんは、「これは経験で、道を歩いているだけで、どこから水が漏れているか分かる下水道修理の人と同じ。五感で感じることだ」と語る。