ある意味、日本は内側の「小さなひし形」を重視し、自ら主導することで新たな抑止力を形成しようとしている。「小さなひし形」のその他の3カ国はいずれも南中国海周辺の当事国であることから、日本は3カ国が中国と南中国海問題で直接駆け引きを展開できると考えている。日本は今後、南中国海の取り組みを強化し、大小の「ひし形」によって異なる包囲と抑止力の効果を発揮させる可能性が高い。
日本がこれほど念入りに「ひし形包囲網」を形成しようとすることには、上述した2つの意図の他に、南中国海問題を騒ぎ立てることにより、東中国海の「圧力」を南に移すという計算がある。中国による釣魚島の主権の保護、第一列島線の北側突破という「常態化」活動により、日本は近年受け身に回り、対応に追われている。より重要なことは、日本が中国の総合的な国力、軍事力、外交活動などと比べ、自国がいかなる強みも持たず、かつ天秤が中国側に傾き続けていることを自覚したことだ。
日本が構築する「二重のひし形包囲網」は、内在的な力が安定しておらず、各国の目的も一致していない。「大きなひし形」のインドとオーストラリアも、複雑な心境だ。自国の利益のために、印豪は米日の「中国とのバランス化」に協力したいが、中国との経済発展にも期待している。ゆえに中国は戦略面で分裂と瓦解を促し、日本の野望を知らせるべきだ。「小さなひし形」に対しては、「各個撃破」の戦術を講じれば良い。特にインドネシアと中国は、経済や高速鉄道の建設などの友好的な協力で多くの成果を手にしている。これらの国は内心、日本の手先になることを警戒している。当然ながら、自国の建設が最も重要だ。特に島礁のインフラの整備は、海上航行・飛行の安全を保障し、中国の海洋権益を効果的に保護しなければならない。(筆者:李傑 海軍軍事専門家)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年1月15日