過度な「匠の精神」が日本の製造業の衰退を加速

過度な「匠の精神」が日本の製造業の衰退を加速。

タグ: 過度な「匠の精神」,日本の製造業の衰退

発信時間: 2016-04-12 11:24:33 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

2009年から2013年にかけて、筆者は工業用ブラシを生産する民間企業で営業に従事したことがある。そのとき、日系企業の顧客(機械製造業)が最も我々を歓迎してくれた。なぜか。日系企業にとって、我々の商品に価格優位性があったからだ。かつてこの日系企業が使っていた工業用ブラシは、ほとんどが日本から取り寄せたものだった。品質は中国国内のものより少し良く、寿命も我々のおよそ1.5倍だった。しかしその価格は、驚くべきことに中国製の10倍だったのだ。コストパフォーマンスで見れば、中国製のものより遥かに低いといえる。日本人は愛国的だが、ビジネスはビジネスである。彼らはコストパフォーマンスの高い「中国製」を求めた。

日本で買った工業用ブラシは、その精緻さで見れば芸術品なみである。顧客も「もったいなくて使えない」と思うほどだ。しかし、綺麗に作ったら作っただけの代価がある。これら細緻な製品の多くが、少人数制の小さな「工房」で作られた。自動化レベルは低く、大量生産が難しい。当然、生産コストは高い。

しかし問題は、すべての製品が芸術品のように作る必要がないということである。匠は細緻を追求する。それはもちろんいいことだ。しかし前提として、顧客がその精神に対しお金を払いたいと思うかという問題がある。

湯之上隆氏は著書で、「性能や指標を極限まで追求し過ぎ、市場のニーズに合った水準というものを無視すると共に、不必要なコストを投入した」と述べる。

経済学者の宋清輝氏は取材に対し、中国の製造業がモデルチェンジに向かう際に注意すべきこととして、モデルチェンジ後に作られる高性能製品の価格がとても高くなってしまうことを挙げた。人々の消費能力は上がっていくにせよ、全ての人が高い商品を買ってもいいと思うわけではない。そのため今後、高品質で高価格の製品が供給過多になる可能性が高い。もし企業が過度にイノベーションを追求し、市場の実際の状況を顧みることをせず、そして消費者の許容する範囲について考慮しなければ、ハイレベルの技術を発展させ作り出された製品が市場価値をもたないことになりかねない。

そのため中国製造業のモデルチェンジは、「匠の精神」を発揮するとともに、「やり過ぎ」にも注意する必要がある。(筆者:蘇清涛)

「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年4月12日

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