日本を訪れた中国人観光客が現地ガイドと組んだ免税店に騙される事件が最近、横行している。高価な健康商品を買わされた被害者は、返品もできず、クレームも功を奏さず、巨大な損失を被っている。「メイド・イン・ジャパン」に期待して日本を訪れた中国人観光客が数万元の悪徳商品をつかまされる責任は、いったい誰にあるのだろうか。
労働節(メーデー、5月1日)連休の間、東京新宿のとある免税店2軒は大にぎわいとなっていた。中国からやって来た観光客らは、商品パッケージの日本語をじっくり眺める暇もなく、ガイドにせかされるままに支払いをしている。
しかしガイドや商品係のすすめる「メイド・イン・ジャパン」という「納豆精」「酵素サプリ」「深海魚油」の値札を見て仰天した。それぞれ一箱約2万円(約1200元)ほどする上、4箱セットでしか売らないというのだ。もしもこの3種全部を計12箱買えば、約24万円(約1万5千元)もする。さらに一度購入した商品は返品不能という。
街中の薬局で数千円で売っているはずのこの酵素サプリの値段が免税店で何倍にも膨れ上がっているのはなぜか。またあらゆる買い物で可能なはずの無条件での返品が無理なのはどうしてか。
「免税店」がインチキの悪徳店舗だからである。こうした店は、日本人や個人旅行者は相手にせず、中国人の団体観光客を専門に商売している。現地の旅行会社ともグルになっているのである。ガイドは健康商品を薬と偽り、その効果を誇張して観光客に売り込む。店員もわざと不適切な説明を繰り返し、薬局でしか売っていない特別な商品だと訴える。ガイドらは示し合わせて同じタイミングで観光客を連れて行き、偽の「爆買い」の光景を作り出す。
中国人観光客が騙される原因の一つとなっているのが、日本政府の関連部門の監督管理不足だ。日本にある中国大使館領事部はこれまで、日本の消費者庁や観光庁などの部門とこの件について何度も協議してきたが「どうしようもない」という答えを得ただけだった。政府部門間での責任のなすりつけ合いも深刻だ。