「2021年までに日本の自動車メーカーは3~4社に減る可能性がある」――米CNBCは12日、米自動車市場調査会社ケリー・ブルー・ブック(KBB)がまとめた予測として、こう報じた。
日本は世界第3位の経済大国であると同時に、世界第3位の自動車生産国でもあり、販売台数世界一を誇るトヨタ自動車を筆頭に8社もの世界的なメーカーを擁する。一方で、同じく自動車生産大国であるドイツと米国は、これに比してごく少数の世界的なメーカーでほぼ互角に渡り合っているのが現状だ。
自動車産業といえば日本の経済力のシンボルであったが、足元では低迷が続いている。トヨタの収益は大きく落ち込み、三菱自動車は燃費データの不正問題で揺れに揺れている。サプライヤーの状況も楽観的ではない。欠陥エアバッグによる大規模リコール問題に揺れたタカタは12日、2016年3月期決算の純損益が130億円の赤字となったと発表した。
こうしたなか、ケリー・ブルー・ブック(KBB)のシニアディレクター、カール・ブロアー氏は米CNBCの取材に対し、向こう5年以内に日本の自動車メーカーは3~4社に統合されるとの見通しを示した。向こう5~10年以内に3分の1から半数のメーカーが消える可能性があるとしている。同氏は、自動車業界の企業間競争が熾烈を極めるなか、メーカー各社は強者連合によって競争力を高めざるを得ないと指摘。大手メーカーでなければ、研究開発費負担が重くのしかかってしまう現状もあるという。
なお、日産自動車と三菱自動車の提携が12日発表されたが、ロイター通信によると、日産は11億8500万ドルで三菱自動車の株式の3分の1を取得し、三菱の筆頭株主に躍り出る方針を固めた。
コンサルティングサービスを手がける米フロスト&サリバンは、自動車業界はすでに規模型事業になっており、グローバル化によって規模拡大できない企業の淘汰が進んでいると指摘。併合や買収、資本提携といった手法による業界再編が今後、世界的に進んで行く可能性があるとの見方を示した。
米自動車調査会社IHSオートモーティブのアジア太平洋地域ディレクター、ジェームズ・チャオ氏は、自動車業界の燃費基準や安全性基準は年々厳しくなっており、メーカー各社はこうした性能向上に数10億ドルも投じてきたが、これは今後の収益に大きな影響を及ぼすだろうと指摘。その上、自動車産業の成長は今後、より複雑さを増し、自動車の品質問題にますます厳しい目が向けられるようになると懸念を示した。
三菱自動車は先月、62万5000台の自動車の燃費データを改ざんしたと認めたが、うち、日産向けに生産したのは46万8000台だった。独フォルクスワーゲンの排ガス規制逃れ問題や三菱自動車の燃費試験データの不正操作、タカタの欠陥エアバッグ問題といった相次ぐ自動車業界の不祥事を受け、業界を監視する声が高まっている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年5月16日