記者はアベノミクスの一般人への影響を調べるため、街頭インタビューを行った。東京の印刷会社に勤務する中年男性は、「私の給与は3年間変わらない。家計を維持するため、支出を削るしかない」と話した。
神戸新聞社はアベノミクスが開始されてから約3年内に、調査を実施したことがある。その結果、過半数の回答者はアベノミクスに不満とした。これには「貧富の格差が拡大している」「給与、売上が増えていない」「円安などの影響で、家計が苦しくなっている」といった理由がある。
会社員の所得増が停滞し、寡占的な大企業の管理職が高所得となっている。これが日本の現状だ。17日付朝日新聞によると、トヨタ自動車は2015年度(2016年3月31日まで)に、役員賞与を総額11億600万円(約25%増)支給するという。9人の役員は1人平均で、約1億2300万円の賞与を支給される。この賞与額は昨年比で約5000万円、前年比で約7000万円増えている。
共同通信の世論調査によると、回答者の57%は、アベノミクスは貧富の格差を縮めるのではなく広げていると回答した。
個人の所得差が拡大すると同時に、国民経済の「基本的細胞」である大企業と中小企業の二極化が深刻になっている。
大手上場企業は株価上昇により資産が増え、輸出企業も円安により収益が増えている。トヨタが今月11日に公表した決算発表によると、同社の2015年度の売上は4.3%増の約28兆4000億円、営業利益は3.8%増の約2兆8500億円に達し、いずれも記録を更新した。
これとは対照的に、中小企業は苦しい経営を強いられている。輸入される原材料の価格が上昇しているが、その分を価格に転嫁できないため、多くの中小企業が経営困難に陥っている。一部の会社は生産停止や閉鎖を余儀なくされている。
日本政府の公式データによると、2014年の倒産件数は1万件を下回り、24年ぶりの低水準となった。政府はアベノミクスによる成果と誇った。しかし民間調査機関の東京商工リサーチが発表したデータによると、2014年に廃業や解散に追い込まれた「隠れ倒産」は約2万7000件に達し、この10年間で3番目の数となった。
インタビューに応じた証券業界の関係者は、「アベノミクスは金融政策を軸とする経済政策だ。短期的な政策により株価を上昇させることができるが、長期的に見ると日本の根本的な問題を解消できない。少子高齢化は日本社会の構造問題であり、高齢化への対応は日本社会のほぼすべての分野で重大な課題となっている。これらの問題はアベノミクスでは解消できない」と話した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2016年5月20日