日本の参議院選挙が公示されてから初めての日曜日を迎えた26日、各党の候補者(与党・自民党総裁の安倍晋三首相を含む)が街頭を歩き、選挙に向け気運を高めている。
今回の参院選では、安倍内閣が3年間に渡り推進してきたが批判を浴びている「アベノミクス」が、野党の主な攻撃のターゲットになっている。英国の国民投票でEU離脱が決定すると、急激な円高が生じた。デフレけん制の力を失っているアベノミクスには、日本経済を回復させる力がないと見られている。
【安定のカード】
EU離脱に関する英国の国民投票の結果が24日に明らかになると、世界の金融市場に激変が生じた。リスク回避通貨とされている円相場が急上昇し、ドル円相場は1ドル=100円を割り込み、一時6%以上の円高となった。
急激な円高は、低成長かつ輸出に過度に依存する日本経済にとって、紛れもなく悪夢だ。デフレけん制の効果が疑問視されてきたアベノミクスは、この「アクシデント」により野党から「集中砲火」を浴びている。
英国の国民投票の結果が明らかになると、日本の主要野党・民進党の岡田克也代表はテレビ番組の討論で、急激な円高はアベノミクスの効果が限定的であることを示したと指摘した。「どうやら円高は続くようで、この党(与党)はおしまいだ」
安倍首相は26日、選挙に向けた演説で、有権者に「安定のカード」を切った。安倍首相は演説中、「現在必要なのは政治の安定だ……(中略)……私たちはいま負けられない、日本を民進党と日本共産党に渡すわけにはいかない」と述べた。
ロイター通信は複数のアナリストの話として、安倍首相が切った「安定のカード」は効果的かもしれないと報じた。これは2009−2012年に政権を運営した民主党の「内乱と政策ミス」、それによる政局不安定が有権者の記憶に新しいからだ。
米コロンビア大学のジェリー・カーティス名誉教授は、「英国のEU離脱は参院選において、安倍首相が率いる政党に有利な影響を生むかもしれない。変動の時期に、日本の有権者は安定を選択する」と指摘した。