(1)各産業の労働生産率が向上
ロボットが働くことで、原料が節約でき、品質の安定が保障される。劣悪な環境でも不満を言わず不眠不休で働く。さらに労働者にとって必要な空調や照明なども節約できる。同じ生産ラインで異なる型式の製品も生産できる。人間に替わってロボットを採用する日本のメーカーはますます増加しており、その全てで労働生産率を大幅に向上させている。2016年初頭にある企業が世界で最初の全自動化農場を1年かけて建設する計画を発表した。種まきから収穫まで、全ての農作業をロボットが行うものだ。
また日本のサービス産業など非製造業分野がGDP及び労働者数に占める割合は共に70%前後となっており、労働生産率は低下傾向にある。そのため、労働集約型のサービス業など非製造分野でもロボットの採用が増えている。具体的には、家庭用のサービスロボットの開発が進み、働く人の家事労働の軽減が望まれるだけでなく、主婦を家事労働から解放し、産業労働者としての参入が期待されている。一方、物流や小売など流通分野で「対物、対人の作業」をするロボットの開発なども、関連産業の労働生産率とサービス品質の改善に大いに効果があると期待されている。さらには、日本は医療分野で「手術補助ロボット」や「オンライン医療」に加え、人工知能に臨床医療知識を学習させることで、患者の質問にくまなく答える「対話型問診ロボット」の開発と普及も行われている。
(2)経済成長を促進
労働生産率を向上させる以外にも、ロボットの発展は設備投資と工業製品の輸出などを通じ、経済成長にも貢献している。
経済産業省近畿経済産業局の板倉孝雄氏は、日本のロボット関連企業及び組織に対し、インタビュー形式の調査を行った。ロボット産業の間接産業分野での「間接波及効果」は、ロボット産業の直接産業分野がもたらす「直接波及効果」の2.38倍であることが分かった。一般製造業の波及効果の約2倍より高い。
(3)少子高齢化がもたらす経済・社会問題を緩和
産業ロボットの採用は、「人と機械の協力」や「労働力の補充」を加速する。補助ロボットは、経験豊富だが体力が衰えた高齢労働者に若者労働者のような力を与えることができる。また男性より体力に劣る女性も、男性のやるような仕事ができるようになる。福祉ロボットを採用することで、高齢者の福祉が向上する(例えば付き添いロボット、ペットロボットが独居老人の孤独感を癒すなど)。