私は日本の国土交通省を取材したことがある。そのとき、「水管理国土保全局」の副局長である平田さんにお会いした。彼によると、東京の洪水防止の排水を考えるにあたり、2つの大きなポイントがある。第一に、周辺の山からやって来る大量の水を、三大河流を通じていかに海に流し、市内への流入を防ぐか。第二に、街に降った雨水を、地下排水系統を通じていかに川へ流し、道路や街への浸水を防ぐか。
東京はいかにしてこの2つのポイントを処理しているのか。まず、国土交通省と東京都は、都市を流れる隅田川と荒川、江戸川の三大河流に河川管理所を作った。それぞれ川の流れの管理や観測を行う。すべての河には堅固な堤防が築かれており、また広い河床を持つ。そのため堤防から川の水があふれだすことも、決壊することもない。市内の排水について、東京都では2つのシステムを作っている。1つ目は、路面にたまった水を迅速に排水するシステムで、1つ目は地下貯水庫システムである。
読者のみなさんがもし東京の銀座に行くことがあれば、路面をよく見て欲しい。その路面はコンクリートでも、石畳でも、大理石でもない。やや粗い砕石の路面である。そこには数多くの細かい隙間がある。これは何かといえば、排水のためにあるのだ。つまり、大雨が降った時、雨水は排水溝に流れるのではなく、地面から地下に浸透していくのだ。