次のような問いかけをする人がいるかもしれない。雨水が地下に浸透し、それが飽和したら、自然に雨水は下に染み込まなくなるはずだ。すごい大雨ならば、水浸しになってしまうのでは? 実は銀座の路面には大きな仕掛けがある。路面の下には大型の排水溝があり、雨水は路面から浸透して下にある排水溝に直接貯まっていく。排水溝の水は、地下の排水システムへ流れていく。そのためどんな大雨が降っても、路面が水浸しになることはない。東京の多くの道路で、銀座と同様な設計がなされている。東京の街で洪水のようになることがないのは、雨水が地下へ浸透する路面の機能のおかげなのだ。
雨水が地下の排水システムに流れた後、もし河水が氾濫し、水位が地面以上になっている状況だった場合、雨水を直接河川に流すのは困難となる。では、その雨水をどこに流せばいいのだろうか。それに備え、東京は2つ目の方法、つまり地下貯水庫の建設を構想した。
1960年代から1970年代にかけて、東京の下町では浸水問題に悩まされてきた。排水速度に間に合わないほどの雨が降るのが原因である。1980年代より、東京は大型地下貯水庫の建設に着手した。まず雨水を集中させてから、少しずつ排水するようにした。東京には大小様々な地下貯水庫があり、すでに37か所に上る。短時間内に地面の雨水を集めることができる。しかも地下貯水庫管理会社は天気予報に基づき、常に地下貯水庫の貯水量を調整している。天気が良い時を待って、地下水を川や海に流す。またはハイパワーの吸水機を使って海に流す。