共同通信や朝日新聞など日本の主流メディアは2日、安倍晋三首相が右翼の女性政治家、稲田朋美氏を次の防衛大臣に任命する方針を固めたと報じた。安倍首相が防衛大臣という要職を稲田氏に与えるのは、自身の政治を支持したことへの「論功行賞」であり、また改憲と安保政策の「全面的な改革」を推進するための地ならしでもある。
共同通信によると、稲田氏(57)が中谷元氏に代わり、次の安倍内閣の防衛大臣に就任することがほぼ確定的となった。安倍首相は3日、改造後の閣僚リストを発表する予定だ。稲田氏は現在、自民党の「党三役」の政調会長に就任しており、党内の政策・人事の中心的な位置にいる。安倍首相が2012年末に再任した後の初の内閣において、稲田氏は行政改革担当大臣に就任した。稲田氏は安倍首相と親しい間柄で、内政・外交政策で安倍首相を力強く支持しており、再度入閣も意外なことではない。朝日新聞によると、閣僚の中心人物のほとんどが留任となるなか、稲田氏の入閣、特に国家戦略の重要な意義を持つ防衛相の就任が、特に注目を集めている。これまで日本では、稲田氏は右寄りすぎるため、入閣はふさわしくないとされていた。
稲田氏は日本の右翼・保守派の議員団体「日本会議国会議員懇談会」「神道政治連盟国会議員懇談会」「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」の重要メンバーだ。歴史観を見ると、稲田氏は日本の侵略戦争の責任と東京裁判を否定し、南京大虐殺の存在を認めず、慰安婦に「強制性はなかった」と述べている。靖国参拝を支持し、自らも国会議員、さらには閣僚として何度も参拝している。稲田氏は2011年、係争中の島「竹島(韓国名・独島)」付近の鬱陵島の「視察」を試み、韓国から入国拒否された。稲田氏の改憲と安保政策は、安倍首相の観念・方針とほぼ一致し、そのため信頼されているようだ。しかし経済・政策面では、消費増税延期に反対し、安倍首相と異なる意見を持つ。
時事通信は稲田氏が防衛相に任命されることについて、安倍首相はこうすることで内閣の人事の主導権を握り続けるほか、政策の主張を推進する意図をのぞかせていると分析した。安倍首相は権力の基盤の安定を前提とし、今後の任期内により積極的に改憲を推進すると見られる。安保政策で日米同盟を主軸とし続け、日本の自主性を強調する。今回の人事は、このような意志を示している。朝日新聞は、安倍首相は稲田氏が「前線」に立ち続け、敏感な政治・安全問題に対応することを必要としている。しかし安倍首相のこの任命は、物議を醸している。稲田氏は中韓から不評で、日本と隣国の関係を悪化させる可能性がある。
新内閣の人事について、安倍首相は麻生太郎副総理兼財務大臣、岸田文雄外交大臣、菅義偉官房長官などの中心閣僚の留任を決めている。党内人事について、高村正彦副総裁は留任となる。安倍首相は怪我で入院した谷垣禎一氏の代わりに、二階俊博元総務会長を幹事長に起用する。時事通信によると、安倍首相は人事調整の「安定重視」により、権力の基盤を強化しようとしている。二階氏は先ほど、安倍首相が「慣例を破り」、2021年まで自民党総裁を続けられると発言していた。そのため安倍首相の二階氏の重用には、首相続投に向けた考えがある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年8月3日