日本政府は2日の閣議で、2016年版「防衛白書」を了承した。この480ページの白書のうち、最もメディアの注目を集める内容はやはり「中国脅威論」だ。この日本政府の防衛思想を反映する文書では、中国の東中国海・南中国海における行動、中国の国防費、中国の軍事改革、中国の国防現代化建設は、いずれも「日本の懸念事項」だ。
当然ながら、「中国脅威論」は新鮮なものではない。中国の経済発展と総合的な実力の強化に伴い、過去十数年から20年に渡り「中国の脅威」に関する説が唱えられた。しかし防衛白書のように国防を着眼点とし、具体的な事例により「中国の脅威」を喧伝する現象には、特に注意が必要だ。
防衛白書は「表」であり、真の「中身」は日本の防衛戦略の変化にある。戦後から冷戦後期にかけて、日本は米国に従い、利用しあう段階を経た。主な目標は、当時のソ連への対処だ。日本の防衛戦略は当時、「専守防衛」だった。冷戦後期から冷戦終了にかけ、日本の実力が大幅に強化された。防衛戦略は「積極的な防衛」であるが、実際には第二次大戦発動により懲罰を受ける状況を変え、政治大国になろうとしている。
日本経済は20年弱も停滞しているが、政治を変えようとする意欲は一向に弱まっていない。安倍首相は就任後、政治・軍事面の突破を試み、これを重視した。防衛戦略面でも突破を繰り返し、昨年一連の安保法が可決されたことで、世界から「日本はついに平和国家ではなくなった」と言われるようになった。
中国の過去数十年間の発展は、日本の停滞とは対照的で、国力の差にも大きな変化が生じていた。日本はこれについて、心理的に落胆している。しかし日本がこの心理を現実の直視に変え、東アジアの国際関係を積極的に改善する努力をしていないことが問題だ。日本は米国の力を借り、中国をけん制しようとし続けている。
安倍政権は発足後、米国に依存し軍事面の突破を目指し、中国に対するけん制の意図を強めている。これは日本の防衛白書が近年、常に「中国脅威論」に言及する重要な背景だ。日本の防衛白書は、中国脅威論を喧伝した後に、米日軍事同盟の重要性について必ず触れる。これはすでに慣例化している。
しかし日本は米日同盟だけで「正常な国になる」という戦略が、賢明ではないことを意識していないようだ。防衛白書の発表後、中国がこれに反論したばかりか、ロシア、朝鮮韓国なども近年、さまざまな面からこの白書に不満を示し抗議している。日本は自国の位置づけを見直すべきだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年8月4日