「奇妙」が、次の2点で示された。
まずは、歴史修正主義の強いカラーを持つ右翼の女性政治家、稲田朋美氏の防衛大臣という要職への起用だ。稲田氏の安倍首相の後継者としての地位がはっきり示された。
歴史認識問題において、57歳の稲田氏は安倍首相よりも過激だ。今世紀初頭、当時弁護士だった稲田氏は、南京大虐殺の「百人斬り競争」に参加した2人の戦犯の子孫のため、百人斬り競争を掲載した日本メディアと記者を訴え、「百人斬りは虚構」であり、記事が2人の戦犯の「名誉」を毀損したと述べた。
稲田氏は政治家になると、極東国際軍事裁判所、靖国神社、慰安婦などの歴史問題についてさまざまな謬論を発表している。例えば東京裁判は国際法に違反しており、日本は東京裁判の歴史観から脱却しなければ戦後レジームを正すことができないとしている。稲田氏はまた、日本は核武装すべきだと主張している。
安倍首相は今年2月に行った講演で、稲田氏は「女性首相の有力な候補者だ」と述べた。安倍首相が2018年9月以降も自民党総裁の任期を延長しようとするならば、稲田氏に自民党幹事長という要職で実力をつけさせ、党と政治の両面で後継者としての十分な資格を備えさせようとするかもしれない。
次に、党内の重鎮、二階俊博氏を幹事長に任命したことだ。安倍首相は谷垣禎一氏を留任させるつもりだったが、谷垣氏は自転車から転倒し負傷した。安倍首相はこれを受け、二階氏を自民党総務会長から幹事長という党内の要職に起用した。安倍首相のこの措置には計算がある。
自民党党則によると、総裁の任期は2期6年までだ。安倍首相は2012年9月に自民党総裁に当選してからすでに再任しているが、これは自民党が2018年9月に総裁の改選を行うことを意味する。自民党内では党則を改正し、安倍総裁の任期延長を求める声があがっている。しかしこれには二階氏のような、安倍首相と一定の距離を保つが実力のある重鎮から支持される必要がある。二階氏は3日の記者会見で、この問題について言及した。二階氏は、自民党内で安倍首相の任期延長についてしっかり議論すべきだと述べており、安倍首相の計算をよく理解していることが分かる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年8月4日