北京大学の雪キ(玉偏に奇)さんは、「醤油は日本の料理には欠かせないもの。雑炊やお茶漬け、麺類、パン、スシの調味料、出汁、お菓子など、醤油の入っていないものを探すのは難しい」と話す。小さな醤油が世界各地に広がったのはなぜか。キッコーマンは醤油の新市場を開拓する時、現地の人が醤油を使って現地の食材を調理することを考える。たとえば米国のスーパーでは醤油味の焼き肉の試食を提供する。このような普及の方法は「食育」と呼ばれ、これまでに醤油はフランス料理、イタリア料理、中華料理、韓国料理に影響を与え、料理の中にとけ込んでいる。
企業市民と食育の理念。これが中国人民大学の張黎陽さんの抱いていた疑問への回答となった。張さんは、キッコーマンが世界各地で行う取り組みは投資とリターンがつり合わないと思っていた。たとえばイタリアでコメを栽培し、現地の生態環境の回復を目指したり、世界各地で健康食品の理念についての教育活動を展開たり、料理教室を開催したり、などだ。「そこにからわかることは、キッコーマンは最高級の醤油を作って、これを魅力溢れる文化的商品にしたということだ」という。