日本政府は29日より、南クリル諸島(日本名・北方四島)の領土問題の進展を待たずして、先にロシアとの総合的な経済協力を実施する方向で調整を始めた。複数の日露消息筋が29日に明かした。
まず日本の安倍晋三首相が5月にロシア南部のソチを訪問し、日露首脳会談を開催した際に提案した8つの経済協力案を実施する。安倍首相は9月2日にロシア極東のウラジオストクでプーチン大統領と会談する際に、日本政府が全力で協力する姿勢を示す。ロシア側の態度が今後の焦点になりそうだ。
先に経済協力を実施することについて、日本政府の消息筋は「これまでの方針に基づき領土交渉を展開しても進展がないのならば、発想を変える必要がある」と強調した。日露の外交筋によると、両国政府は早期実現される見込みの協力プロジェクトについて、近日中に観点を一致させる可能性がある。2016年7月、当時の世耕弘成官房副長官(現在は経済産業相)はロシアのウリュカエフ経済発展相と官邸で会談した際に、開始時期について調整したと見られる。
ロシアとの8つの経済協力案の主な内容は、極東の開発だ。プーチン大統領が振興の遅れる極東を重視していることから、日本政府は直ちに計画を打ち出し実行に移す可能性が高い。それからロシアに対して石油・天然ガスの生産能力を高める技術支援を行い、日本最先端技術を採用した医療センターを早期建設するといった案もある。
しかし日本政府の関係者は、「先に協力を展開したからといって、ロシアが領土問題で柔軟な態度を示すとは限らない」と懸念している。協力の全面展開後、領土問題をめぐる交渉でロシアに妥協を促すことができず、日本政府が焦りを強めることもありうる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年8月29日