日本銀行(中央銀行)がうち出す金融緩和政策はすでに「危険水域」に入っているが、日本経済の持続的な低迷と不振、「アベノミクス」に外部から絶えず寄せられる疑問を受けて、日銀は追加緩和措置を打ち出す可能性があるとしている。黒田東彦総裁は5日、既存のものや新しいものやあらゆる手段を利用してさらなる金融緩和政策をうち出したいとの考えを示し、「日銀が今月下旬に行う金融政策などの『総括的な検証』を受けて緩和政策から撤退することはあり得ない」と強調した。これは黒田総裁が先月に米国ワイオミング州ジャクソンホールで行われた年次経済シンポジウムで示した態度と基本的に一致する。シンポでは、「日銀は既存の政策の枠組内でなお十分な追加緩和の余地があり、必要があれば、ちゅうちょなく追加的な措置を取る」と繰り返していた。
黒田総裁が金融緩和をめぐってしばしば示す姿勢は、現在の日本の経済データの不振と切り離せない。最新のデータでは、今年第2四半期(4-6月)の国内総生産(GDP)成長率は年率換算で0.2%となり、外部の予測値0.7%を下回っただけでなく、第1四半期(1-3月)の2%も大きく下回った。経済の専門家は、「0.2%という数字が意味するところは、日本の経済成長がほぼ停滞しているということだ」と指摘する。これと同時に、日本経済が直面するデフレリスクは高い状態が続いている。8月26日に日本政府が発表した7月の消費者物価指数はマイナス0.4%、生鮮食品を除いたコアCPIはマイナス0.5%で、いずれもマイナス値だった。CPIデータは5カ月連続の低下となり、予測値に届かなかった。
黒田総裁はこれまでたびたび金融緩和政策をアピールしてきたが、日銀がうち出す措置の有効性に市場からは疑問の声が上がる。数年前に国際社会で一時的に評判になった「アベノミクス」は、今では笑い話のようになってしまった。「アベノミクス」が設定した目標は2年以内にインフレ率を2%に、名目GDP成長率を3%にそれぞれ引き上げるというものだったが、日銀が「劇薬」を投与して何度も促しても、一つも目標は達成できなかった。また現在の状況から考えて、これらの目標は今後数年かけても基本的に達成される可能性は低いとみられる。目標達成が遅々として進まない中、日本政府にはなお対応策があり、「見送り」や「先送り」によって不本意な局面をやり過ごそうとしている。たとえばインフレデータが思うようにならないため、日銀は2013年に黒田総裁の下で大規模な金融緩和政策を実施して以降、インフレ目標の達成時期をしばしば先送りしている。