客観的にみて、日本にはもう経済成長を喚起する力は残っていない。できるのはマイナス金利政策をうち出すことと、資産購入計画をさらに拡大することくらいだ。弱り切った経済データが映し出すのは、日銀の金融政策が行き詰まったのではないかという外部の疑念の高まりだ。データをみると、日銀は今や日本国債市場の最大の保有主体で、市場に出回る国債の3分の1を保有する。別の専門家によると、日銀のマイナス金利政策は日銀の利益をさらに縮小し、日本の銀行システムに対する人々の信頼感を損ない、日本の金融システムの見通しにも損害を与えた。
黒田総裁は5日、初めて公開の場で、「マイナス金利政策の導入により、金融機関の収益に与える影響や、保険・年金の運用利回りの低下が人々のマインドに悪影響を与える可能性がある」と認めた。だが日銀が緩和政策という「薬」の服用をやめることはないとも暗示した。黒田総裁が繰り返し述べるのは、当面の枠組においても、日銀には追加緩和政策をうち出す十分な余裕があり、他の新しい考え方を排除することはなく、追加緩和が必要であることが明らかになれば、緩和措置によって代償を支払う可能性があるとしても、すみやかに政策の選択肢をそろえて状況に対応していく、ということだ。黒田総裁は、「日銀にはさらなる金利引き下げの余地がある」とも強調する。
現在、市場アナリストの多くが、「これから日銀の金融緩和は継続し、バージョンアップしていく。直近では9月に行われる」との見方を示す。具体的には、日銀のインフレ目標調整の方針から、金利をさらに引き下げ、資産購入計画を一層拡大することが予想される。だが専門家の中には、「日本の金融緩和政策の拡大には引き続き制約があるともみられる。たとえば、日銀の保有債券の数量が大幅に増加する一方、市場で買える国債の数量が大幅に減少している。債券購入計画をさらに拡大したいなら、日本政府はさらに多くの国債を発行しなければならない。だが日銀の手元には大量の国債があり、日銀のバランスシートが直面するバランス圧力を考えに入れないとしても、日本の国債市場は今や流動性が大幅に縮小している。つまるところプラスがマイナスより大きいかどうか、今すぐに断言することは難しい」との見方を示す人もいる。(編集KS)
「人民網日本語版」2016年9月11日