日本政府は15日、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣する陸上自衛隊に、新任務「駆け付け警護」を付与することを閣議決定した。安倍政権は昨年国会で安保法を強行可決し、今年3月に施行してから、この時期を見計らってきた。今回の決定により、安保法に基づき積極的に「海外武力行使」範囲を拡大する自衛隊の試みが、正式に運用段階に入ったことになる。
「駆け付け警護」とは、PKOに派遣された自衛隊が、離れた場所にいる国連職員や一般人が武装集団や暴徒に襲撃された場合に、救助要請を受け武器を持ち救助に駆け付ける任務のことだ。日本国憲法が海外での武力行使を禁じているため、これまでは原則的に認められなかった。しかし安倍政権は安保法により平和憲法のこの制限を形骸化し、PKOに参加する自衛官の自衛目的のみに限られていた武器使用基準を大幅に緩和した。
稲田朋美防衛相は15日、駆け付け任務が来月12日に南スーダンで正式に実施されると表明した。また自衛隊の別の海外新任務、宿営地が武装勢力に攻撃された場合に他国軍と共同防衛する「宿営地共同防衛」という海外新任務を付与することになる。
駆け付け警護を付与し自衛隊の「海外武力行使」の範囲を拡大すべきかについて、NHKは14日に世論調査の結果を発表した。賛成とした回答者は18%のみで、反対は42%。国民の反対が強まっていることから、日本政府は15日に駆け付け任務を閣議決定すると同時に、運用方針を発表した。それによると国連の同意などPKO5原則に合致しても、「安全を確保しつつ有意義な活動を実施することが困難な場合」には、政府国家安全保障会議の審議を経て直ちに陸自部隊を撤収し、駆け付け警護の実施を停止する。
日本メディアは、自衛隊の海外安全保障能力の拡大の一貫として付与された駆け付け警護は、自衛隊の創設より足を踏み入れたことのない「未知の領域」であり、自衛官が戦闘に巻き込まれる危険性が高まることが不可避だと指摘した。日本政府は以前、南スーダンの首都ジュバの治安情勢は「比較的安定」と表明したが、この判断は稲田防衛相が10月にジュバを訪問し現地の女性と子供が一人で道を歩いているのを目にし、「比較的安定」と感じたことに基いている。安保法に基づく新任務を実施するに当たり、日本政府の現地情勢への判断はあまりにも一方的で、「筋書き通り」という疑いがある。
南スーダンでは現在、政府軍と反政府勢力による深刻な対立が生じている。7月に首都ジュバで大規模な武力衝突が発生してから、情勢に収拾の目処が立っていない。安倍政権が現地の治安情勢を客観的に判断できなければ、南スーダンのPKOに参加する自衛官を深刻な危険にさらすことになり、今後の情勢悪化に禍根を残すことになるだろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2016年11月16日