9条改定の可能性は低い
2016年7月の参院選後に、改憲が現実的な政治の課題となるなか、憲法9条には「封印紙」が貼られた。戦後の長期に渡る憲法論争で、政治的対立の最大の焦点になったのは9条だ。安倍首相と自民党副総裁は、9条を改憲の議論の対象外とした。これは安倍首相と首相が率いる自民党の改憲目標が、すでに9条ではなくなったことを示した。これには次のような原因がある。
まず、国民の改憲への態度に変化が生じた。次に、安保関連法による二重の影響だ。それから、改憲と長期政権運営、政権の安定的な運営の維持という現実的な需要の間に存在する、相容れない一面だ。さらに、安保関連法の可決後、公明党の9条への態度に変化が生じた。慎重な議論を経て9条に第3項を加えるから、9条を改定する必要は今のところないに変化したのだ、最後に、大阪維新の会も「9条改定は時期尚早」と何度も表明している。
衆参両院の憲法審査会の議論にせよ、国民投票にせよ、9条第2項を削除し「軍隊を保持する」とする憲法改正草案が承認される可能性は低い。
最終版は「微修正案」か