「シルバー人材は、社会にとって負担ではなく貴重な資源であるべきだ。長寿社会では、誰もが生涯学習を通じて自己のライフスタイルを選択し、より有益でより豊かな人生を過ごすことだ」中国の高齢化問題について、中国人民大学公共管理学院の娜拉教授はこう話す。「高齢化社会を迎える中国の戦略は、まさにシルバー人材を貴重な資源として捉えようとする考え方である」(同教授)という。
中国国務院弁公庁がこのほど発表した「高齢者教育発展計画(2016—20年)」は、高齢者教育の発展を加速させ、高齢者教育の資源供給を拡大し、高齢者教育の近代化レベルアップを目指す計画を打ち出した。計画では、2020年までに各種の形式で教育活動に常時参加している高齢者の高齢者全体に占める割合を20%以上に引き上げるという目標が掲げられた。この目標をいかにして実現していくかについて、娜拉教授は1970年代にすでにシルバー人材が現れた日本の例が参考になると話す。
「日本の高齢者継続教育は歴史は古く、1950年代にはすでに始まっていた。戦後、日本の再建や経済・社会政策が変化とともに、高齢者が頼りとする従来までの生活様式に変化が生じ、高齢者は孤独を余儀なくされていった。この結果、老人クラブ誕生した。
彼らは老人クラブでの学習や交流を通して孤独感を解消。社会問題の解決にもつながった。60年代には老人福祉法が制定され、ユネスコが提倡する生涯学習を奨励。老人クラブは国の法律で定められた支援プロジェクトになった。その結果、多くの地域に高齢者向けの大学が設立され、「カリキュラム3割・レクリエーション7割」(娜拉教授)というスタイルで運営された。