三菱自動車の問題は外部の市場競争圧力から生じたものである。日本の6大自動車メーカーの1つである三菱自動車はこの数年、市場競争で劣勢に立たされ続けてきた。たとえば燃費が重視される小型車市場において、2015年の三菱自動車のシェアはわずか3.2%。同社が「一丸となって努力」した結果のデータ改ざんは、企業内部の膠着化した社風が原因となっている。
経済評論家の古川猛氏によると、戦前から日本経済を支えてきた老舗軍需企業である三菱重工の子会社として、三菱自動車は親会社の傲慢な“血統”を引き継ぎ、経営層は保守的であり、社員も幹部の指示に言いなりの社風だったという。「上司の命令に従順な社風が、偽装データ問題が発生した根本的原因だ。会社と経営層の大きな圧力がある状況において、たとえ法律違反なことでも全ての人は座視するだけだった」。
日本政府は、今後三菱側が提供する燃費データを信頼せず、独自に同社の各車種の燃費を計測すると、明確に表明している。国土交通省の石井啓一氏は、三菱の行為は消費者の信頼に背くものであり、日本の自動車ブランドを傷つけるものだとした上で、「今回の事件は日本の自動車産業の名誉を傷つけるだけでなく、消費者に不信感を与えるものであり、極めて深刻な問題だ」と述べる。