海外メディアによると、日本の安倍晋三首相は14日、オーストラリアのマルコム・ターンブル首相と、日豪の防衛協力を推進する「物品役務相互提供協定」(ACSA)の改定に署名した。13日にはフィリピンでドゥテルテ大統領と会談し、南中国海問題について話し合い、両国の安全保障協力をいかに強化するかを議論した。15日にはインドネシア、16日にはベトナムに飛び、両国の指導者と南中国海問題について協議した。安倍首相の今回の外遊は、南中国海の周辺国家との同盟をめぐって行われ、中国をねらいとしたものとみなされている。
台湾地区『中時電子報』ウェブサイトは16日、日豪の指導者の会談ではさらに、「特別な戦略的パートナーシップ」を今後さらに深めることが確認されたと伝えた。両国は、「中国大陸部が軍事拠点化を進める南中国海問題」をめぐる協力をさらに強化することに同意した。会談ではさらに、「環太平洋戦略的経済連携協定」(TPP)の早期の発効をはかることも確認された。
報道によると、安倍首相はフィリピンで、ドゥテルテ大統領の故郷のダバオ市にも足を運び、ドゥテルテ大統領と朝食を取り、フィリピンへの1兆円(約88億ドル)の支援を決定した。フィリピンへの沿岸巡視船の提供や訓練での協力なども明らかにされており、米国と距離を取って中国大陸部に歩み寄ることを宣言したドゥテルテ大統領に取り入ろうとする意図は明白だ。
その一方で、ベトナム共産党中央委員会のグエン・フー・チョン書記長は15日、中国大陸部への訪問を終えた。中国大陸部とベトナムは15日、共同コミュニケを発表し、「双方は、海上での意見の相違を適切にコントロールし、南中国海の平和と安定を守っていく」としている。
仏RFIのウェブサイトは16日、南中国海の主権争いをめぐってはさまざまな参加者がおり、中米日豪などの大国もあれば、フィリピンやベトナムなどの小国もあると指摘した。
報道によると、ベトナム共産党のグエン・フー・チョン書記長が訪中し、グレードの高い待遇を受けたことは、中国とベトナムが近付きつつあることを示している。これと同時に、安倍首相がASEAN諸国を相次いで訪問する中、日本とオーストラリアやインドネシアなどの国も関係強化の兆しが現れている。こうした相互交流と通常と異なる動きはいずれも、南中国海における駆け引きの局面に影響を与えている。