東の隣国が中国文化と兵法を学び、活用していることについては、時に「尊敬」の念を禁じ得ない。
日本の海上自衛隊最大の戦艦、さきほど就役した「かが」と2年前に就役した「いずも」は、小型空母の形をしながらも、ヘリ搭載駆逐艦と言い張っている。これは兵法の「瞞天過海」だ。
日本による中国侵略戦争と太平洋戦争で、日本海軍の空母「加賀」と「出雲型」巡洋艦は多くの罪を犯し、最後に海底に葬られた。日本政府は現在、罪深い戦争の幽霊を「引き揚げ」、新型戦艦にその名をつけた。これは兵法の「借屍還魂」だ。
最近のニュースを見ると、かがが就役し、いずもが南中国海及びインド洋における合同訓練・軍事演習への参加を予定しているほか、より興味深い情報に目が向く。安倍政権は5年前より派遣を開始していた、南スーダンの平和維持部隊を全面撤退させる方針を固めたのだ。このタイミングに含まれるカラクリを知っていれば、実際には「捨車保帥」であることが分かるだろう。
物事には必ず原因がある。まずは最初から見ていこう。
安倍首相とその閣僚らは近年、外遊中であっても外国の賓客との会談でも、南中国海問題に必ず言及している。この駄目で元々にかける意志の強さには驚かされる。安倍政権は煽動しているが、海上軍事勢力を派遣し南中国海問題に介入する件については、大胆な動きを見せていない。いずもの今回の遠洋航行で、どれほどの度胸を示し、どれほど大きな波瀾を巻き起こせるかは未知数だ。何はともあれ、中国軍はこれを最も注意深く監視するだろう。
しかしいずもが事を起こすためだけに南中国海を訪れると考えるならば、安倍政権と日本の右翼政治家が長年に渡り抱き続けた「大志」を過小評価することになる。
いずもが南中国海とインド洋に派遣されると伝えた海外メディアは、この措置について「戦後日本の同地域における最大のシーパワー誇示」と報じ、さらに「安倍首相の就任後、日本は平和憲法を脅かし続けている」と論じた。
まったくそのとおりだ。安倍政権と日本の右翼政治家は近年、再武装を制限する平和憲法を打破しようと躍起になっている。
2017年になると、改憲は安倍政権の最重要事項になった。右翼思想が日本社会の民意の基礎に浸透し、国会では改憲支持派が多数を占めている。安倍首相本人の支持率も、長年に渡り高水準を維持している。改憲は新年になり、安倍政権の日程表の「最後の1キロ」に入った。
その「大志」をはっきりさせることで、上述したニュースの裏側に含まれる、実質的な内容を完全に理解できるようになる。
少し改造しただけで高い進攻能力を持てる「準空母」2隻を建造し、いわゆる「ヘリ搭載駆逐艦」4隻により海上自衛隊の戦闘力をパワーアップさせた。PKOの名を借り海外派兵を実現し、法案により自衛隊の海外での軍事人員の展開を認め、さらに関連部隊に「駆けつけ警護」任務を付与した。これらの出来事は秩序正しく漸次的に推進された。安倍政権は事実上、平和憲法の規制を一歩一歩打破しており、機が熟せば改憲という最終目標を達成できる。
いずもの出港とかがの就役により、「帝国海軍の伝承」を示すことができる。古い夢を温めようとする右翼分子は、当時の「栄光」を思い出すことができる。それではPKOに派遣した人員を、なぜ今になり急に撤退させるのか。
これには、次のような経緯がある。
安倍首相は2月より、右翼小学校が低価格で校舎建設用地を取得した問題への関与を疑われ、スキャンダルに巻き込まれている。安倍首相はかつて、南スーダンに派遣した自衛官が死傷すれば辞職すると発言していた。南スーダン情勢は現在不安定で、本当に不測の事態が生じれば、安倍首相は改憲という大きな目標を失ってしまう。日本メディアが自衛隊の撤退を「賢明な決断」と論じているのも無理はない。
安倍政権と日本の右翼政治家の「大志」により、未来の地域安全情勢と平和・安定は大きな脅威に直面する。中国、米国、ロシアなどの戦勝国は平和のために、第二次大戦の勝利の成果と世界構造の安定を維持し、日本の右翼勢力の「暴走」を断固阻止する責任がある。平和憲法を守らせ、軍国主義の幽霊による「借屍還魂」を阻止するのだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年3月31日