東芝は巨額損失を出し続けてきた米原発子会社ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)の経営破綻を受け、米国のほかインドや中国、英国で手掛ける原発事業からの撤退作業を急ぐ。保有するWHと英原発子会社の株式を早期に売却できるかが今後の焦点だ。共同通信が30日に伝えた。
インドでは、WHが計6基の原発を建設することで昨年6月に米国とインドの両政府が合意した。今年6月までに契約する方針だが、白紙撤回となる懸念がある。昨年11月にインドと原子力協定を結び、原発輸出をもくろんでいた日本政府も打撃を受けそうだ。
東芝は、6割を出資する英子会社ニュージェネレーションを通じて、英北西部ムーアサイドに原発3基を建設する計画だったが、WH問題を踏まえて方針を転換し、英子会社株も売却する考えだ。ムーアサイド原発は英国の電力供給計画との間に重大な関連性を持つ。日英両国政府は昨年12月、新型原発の建設に向けた協力強化の覚書に署名していたが、東芝が手を引けば日英関係がぎくしゃくする恐れもある。
中国ではWHが三門原発(浙江省)と海陽原発(山東省)で原子炉を2基ずつ製造している。最も早い稼働予定は三門の1号機だが、当初計画から約3年遅れている。東芝はWH株売却により距離を置く考えだ。
安全面の理由から原発事業を安易に売却できないため、アジアでは日本と並んで米国と 関係が深い韓国政府系の韓国電力が売却先の候補に浮上している。
韓国電力は原発技術で中国から追い抜かれようとしており、WHの技術と特許により、将来性の高い海外市場で巻き返しを図る。しかし次の大統領選の候補者、最大野党「共に民主党」の文在寅前代表が原発推進政策を変更することを検討しており、事業売却が決まるかは不透明だ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年3月31日