二階氏を選んだ理由
安倍首相の訪中団の人選にも、深い意味が込められている。一帯一路フォーラムに出席した二階氏は、日中友好交流に尽力してきた。習主席は会談した際に、二階氏を「中国人の古い友人」と呼んだ。このような人物を中国に派遣することで、両国間の距離を最大限に縮めることができる。二階氏は自民党内で、幹事長という「党四役」(幹事長、総務会長、政調会長、副総裁)に就任しており、安倍首相の親書も届けたことで、日本側に確かに誠意があることを十分に証明している。
しかしながら日本社会全体が保守化・右傾化する雰囲気を受け、中国に友好を示すことには大きな圧力がある。これは首相であっても回避できない。ましてや安倍首相は当初、米国にあくまでも追随しTPPを推進し、一帯一路を敵視する姿勢を示していたのだからなおさらだ。今や急に態度を変えて公然と支持すれば自己否定につながり、首相の威信が大きく損なわれることは間違いない。そのためこの時期に二階氏を選んだことには、別の理由がある。
二階氏と安倍首相は同じ自民党でも、別の派閥に所属している。安倍首相は自民党内の「清和会」に所属し、二階氏は「志帥会」を率いており、はっきり分かれている。中国と一帯一路で交渉が決裂する、もしくは右翼分子から批判されれば、安倍首相は責任を二階氏に押し付け、自分たちの派閥とは関係ないと主張できる。交渉が成立すれば、日本は利益を手にすることができる。安倍首相は党総裁として手柄を独り占めできる。まさに損をしない取引だ。
こうして見ると、安倍首相が一帯一路サミットに代表者を派遣した動機と誠意には、明らかな瑕疵が存在する。(筆者:孟明銘 中国社会科学院日本研究所ポスドク)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年5月21日