ロイター通信は5日、「ザ・ディプロマット」の記事を引用し、「シャングリラ会合(アジア安全保障会議)の会期中、豪州、日本、インド、ベトナムは同盟関係を構築し、影響力を強める中国に対抗することを秘密裏に検討した。これらの国はトランプ大統領が米国をアジアから撤退させ、二国間関係を強化することを懸念しているからだ」と報じた。
これは米国と中国に圧力をかけるため、同時に双方に探りを入れているようだ。このシグナルを最も積極的に発しているのは、豪州である可能性が高い。中国の経済発展の快速列車に便乗すると同時に、米国に中国の影響力への相殺を強めさせることで、中国からより多くの利益を手にしようとしている。豪州と日本はこれを、中国が台頭する時代の地政学的ロジックにしようとしている。
アジア諸国の中国対抗の「同盟」は常に注目を集めるが、この話題を有効な地政学的手段にするのは非現実的だ。まず中国はこのような虚勢に驚かされない。アジアは当時の欧州ではなく、今日は過ぎ去った冷戦時代でもない。中国に対抗する新たな同盟は地政学的雰囲気を大きく悪化させる。地域全体がこれを認めず、関連諸国にとってもメリットがない。そのためある国が本当に同盟の旗印を高々と掲げれば、ドン・キホーテのように狂気じみていると言えよう。
中国は豪州、インド、ベトナムにとって最大の貿易相手国、日本にとって2番目の貿易相手国だ。また中国と豪州は自由貿易協定を結んでおり、中国とベトナムは共に社会主義国だ。中国との国境地帯の安定は、インドの経済発展にとって極めて重要だ。中国とインドはさらに、BRICSと上海協力機構の加盟国だ。これらの国が実体のない「中国の脅威」のために同盟を組めば、これはどのような同床異夢になるだろうか。
日本はかつて米日豪印の「戦略同盟」を提唱したが、結局は空論になりなおざりにされた。豪日印越の同盟はより頼りなく、「中国の脅威」をどれほど熱心に吹聴しようとも、この4カ国がまとまるための「粘着度」は生まれない。この同盟がユートピアと化すことは間違いない。