又吉直樹さんの中国訪問:国境を超える文学とお笑いの魅力

又吉直樹さんの中国訪問:国境を超える文学とお笑いの魅力。 「100年前に芥川龍之介が上海を訪問し、今日、芥川賞を受賞した又吉直樹さんが上海を訪問された。時空を超えて、二つのタイムポイントを重ねることができる。国境を超える文学は人と人の距離を縮めてくれる」…

タグ: 芥川龍之介 又吉直樹 文学 

発信時間: 2017-06-20 16:11:23 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

「芸人をあきらめた人の罪悪感とは何か?」が「火花」のテーマ

「火花」の中国語版の発表会で、又吉さんは、「小説を書くことで、変な人を描きたいのではなく、人と人の関係を描きたかった。芸人の世界の先輩と後輩の関係はとても独特」と話した。

日本には芸人を育成する学校があり、東京や大阪の学校に毎年400-500人がやって来る。しかし、その中からテレビに出ることができるようになるのはほんの一握りで、才能があっても、続かない人もいるという。作品の中で、又吉さんは、「たくさんの人が夢を抱いて上京する。でも、スターになることができるのはわずか1%の人。また、売れた人だけが正しいというわけでもない」と書いている。

「最終的にあきらめてしまった人は、いい生活を送っていても、彼らと会った時には、背負っている恥ずかしさのようなものを感じる。その罪悪感はどこから来ているのかというのが、『火花』のテーマの一つ」。

 

「登場する徳永も神谷も自分に似ている」

「火花」に登場する主人公の徳永は関西出身で、貧しい家庭で育ち、高校を卒業してから漫才を始めた。「その境遇は自分の境遇ととても似ている。でも『火花』で描いているのは自分ではなく、同世代の人々、同じような思い出がある人」と又吉さん。

「『火花』を読んだ先輩には徳永とお前は似ていると言われたのに対して、後輩には、僕は神谷と似ている部分もあると言われた」。

又吉さんは18歳の時にお笑いの世界に飛び込んだものの、売れたのは最近になってからのことだ。又吉さんは北海道の小さな劇場で、観客がおばあちゃん2人だけという状況で漫才をしたことがあるという。「二人を前に、無表情で2時間しゃべり、二人も無表情だった。二人を絶対笑わせたいと思った」。そのような状況が1ヶ月以上続き、漫才のスキルを磨きながら、「お笑い」とは何かをずっと考えていたという。

「必要がないことを長い時間をかけてやり続けることは怖いだろう? 一度しか無い人生において、結果が全く出ないかもしれないことに挑戦するのは怖いだろう。世界が突然変わる瞬間が経験したい。ネタをやっても誰も笑わない恐ろしさと、会場が爆笑に包まれた時の喜びを経験したい」。 「火花」に出てくるこの言葉が、又吉さんの当時の心境かもしれない。

「ノーベル賞受賞は、僕が日本代表としてW杯に出場する確率より低い」

テレビ出演も多いお笑い芸人である又吉さんが、芥川賞を受賞したという「ギャップ」から、社会では「火花」が大きな話題になり、これまでに発行部数が300万部を突破し、芥川賞受賞作品としては過去最高となっている。

同賞受賞に関して、又吉さんは、「『火花』が賞を受賞したため、本屋に行ってそれを読み、その横にあるもっとおもしろい本を見つけ、そのようにして文学や読書に興味を持ってくれるようになった人がいれば、そのことの意義は受賞よりも大きいと思う」と話す。

ノーベル文学賞に関する質問に、又吉さんは、「僕がノーベル賞を受賞する確率は、今サッカーの練習を始めて、日本代表としてワールドカップに出場するよりも低い」とユーモラスに答えた。

「ドラマ版『火花』は僕の世界観をよく理解してくれている」

「火花」の中国語版が発売される前に、多くの中国人が「火花」を知ったのは、ドラマや映画などの情報コミュニティサイト・豆瓣網で9.3ポイントという高い評価を受け、ネットユーザーから「名作」と呼ばれたドラマ版の「火花」がきっかけだろう。

「僕もドラマ版の『火花』を見た」という又吉さんは、「本の中で直接は表現していない考えも正しく表現してくれていた。これは、監督も脚本家も僕の世界観をよく理解してくれているということ。原作者として、そのことはとてもうれしい」とし、映画化やドラマ化について、「同じ作品を、文学作品、舞台劇、映画、漫画などさまざまな形で表現することができる。作品自体も、リメイクを通して進化し、さらに立体的になり、生命力も強くなる」との見方を示した。

人気俳優の菅田将暉と桐谷健太がダブル主演する「火花」の映画版は11月に日本で公開される予定。又吉さんは、「キャスティングや製作には関わっていないものの、映画版の監督や脚本家、出演者は、みんな僕がリスペクトしている人。売れる前に、その脚本家の作品にゲスト出演させてもらったこともある。これも一つの縁だと思う。映画版が思いがけないサプライズを提供してくれることをとても楽しみにしている」と期待感を示した。(編集KN)

「人民網日本語版」2017年6月20日

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