次に、日本人男性の勤務時間は長く、夫婦間の親密度が低いことが出生率の低さにつながっている。
また、男性が育児に参加する時間も非常に短い。最新の統計によると1日1時間程度で、多くの夫婦に育児をする気力がない。
最後に、日本の性関係はアジアで見ると開放的だが、未婚出産や婚外子などに対して保守的な見方が強い。政府の未婚出産に対する支援が欧米などの国ほど積極的でないため、人工妊娠中絶も多い。
労働力不足、消費萎縮、教育危機
低出生率は深刻な労働力不足という問題ももたらしている。日本では女性が結婚後に仕事を辞めるケースが多いため、労働力は低い。安倍晋三首相は今年、女性の雇用を奨励する税制改革を打ち出したが、社会の目は冷ややかである。そのため、女性の雇用を推進するだけで、育児施設の増加や手当支給などの取り組みは進んでいない。
次に、消費萎縮の問題である。新しい技術とデザイン、各種の流行の消費者は若者だが、その数は年々減少し、消費は飽和状態になっている。一方、高齢者向けの商品開発は注目されるが、高齢者の流行に関する消費能力には限りがあり、開発される商品は未来の疾病やケアなどに集中する。
もう1つは教育危機の問題である。日本の教育資源は乏しいが、学校は学生の教育と管理における役割は限られている。伝統文化と西洋から来た文化が合わさるこの社会で、教育はジレンマに陥っている。
「団塊の世代」は1つの人生スタイルを築いたと言える。学校では優等生になり、一流大学で学び、その後に一流企業に就職し、企業で徐々に昇進し、退職する。しかし女性は一流大学と一流企業に加え、優秀な男性と結婚し、専業主婦にならなければいけない。
父親世代はこのスタイルを次の世代に伝え、70年代生まれの人たちはそれを少し吸収している。バブルは崩壊したものの今も経済強国だが、その後に生まれた80年代と90年代の人たちは何も吸収できていない。