科学技術界、極めて慎重な意見も
日本政府の誘惑と圧力を受け、日本学術会議にも緩みが生じた。時代の変化に順応し軍事・学術間の関係を見直すと表明し、昨年5月にはこの関係を検討する専門機関を設けた。しかし今年2月4日に東京で行われた公開シンポジウムにおいて、多くの学者が反対意見を述べた。過去の対外侵略戦争において、日本政府が軍事科学研究に身を投じるよう、多くの研究者に働きかけたからだ。この血なまぐさい教訓を軽々しく忘れることはできない。多くの学者は同機関が中間報告で、過去2回の声明の立場に再言及したことを支持し、研究者に防衛省の関連科学研究活動に参加しないよう呼びかけた。
日本の科学技術界では、本件に対して極めて慎重な姿勢が主流となっているが、科学研究経費が日増しに切迫する状況下、防衛省の潤沢な科学研究資金は依然として魅力的であり、飢えにより好き嫌いを言っていられない状況にもなりかねない。今後は各大学と科学研究者が、誘惑を拒み自制を維持できるかにかかっている。
日本メディアによると、米軍は日本政府の先を行き、20年前から日本の科学研究機関の支援を開始していた。その科学研究プロジェクトに資金援助し、9.11同時多発テロ後に援助を拡大した。2008−16年の間だけでも135件のプロジェクトに、総額8億8000万円を提供した。大学、非営利組織、ベンチャー企業、各種学会などが援助を受けた。これらの科学研究プロジェクトは民間プロジェクトに見え、その名称と成果も公開されているが、米軍は慈善活動家などではない。世界で常に圧倒的な軍事力を維持するという目的を隠していない。
米軍の戦略目的を考えると、多くの民間科学技術プロジェクトは軍事に転用可能だ。コンピューター、レーザー、GPSなどの技術は、基礎物理学の科学研究成果だ。米軍にとって、海外の科学研究プロジェクトの支援は、低コストで即効性のある手段だ。日本への支援は「マンマシンインターフェース」「ネットワーク技術」が中心となっている。さらに遡ると、米軍は1967年に日本物理学会に資金援助し、国際会議を開いていた。日本学術会議は直ちに、いかなる軍事研究にも従事しないとする声明を発表した。日本物理学会も即座に、いかなる軍からも援助を受けず、軍側といかなる協力関係も結ばないと表明した。しかし1995年になると、日本学術会議は態度を変えた。武器という明らかな軍事プロジェクト以外であれば、完全に自由だというのだ。
上述した通り、日本の各科学研究機関が防衛研究の規制を緩和する流れとなっている。これは日本の防衛産業の発展を促進することになり、国際社会は懸念を禁じ得ない。(筆者:陳鴻斌 上海国際問題研究院情報研究所元所長)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2017年7月4日