日本では製造業が諸産業のうちで抜きん出ており、これは日本経済の誇りであると同時に、その他の新興産業の発展を妨げてもいる。長谷川氏によると、野球には、片足を宙に浮かして球を打つ「一本足打法」があるが、日本経済はまさにこの「一本足打法」で、ほとんど製造業だけに依存している。日本の輸出額のうち多くを占めるのは、自動車の輸出と自動車部品の輸出だ。
前出の観測筋によると、日本の製造業は成功しすぎたために、意識の調整がなかなかできなくなっている。日本が最も得意とするのは製造であり、製造業での成功の経験があるために、こうした成功を守ろうとして、本来は新たな産業を発展すべき時に、旧来の産業の保護に走り、機会費用の高い代価を支払うことになった。
これを改めるには、規制緩和から資源配置の最適化までの一連の問題を解決する必要がある。生産性の向上にあたっては、労働力や資金、土地などの要素を生産性の低い部門から生産性の高い部門へと移転することが重要な手段となるが、日本政府の中小企業に対する補助は、産業の高度化を妨げる原因の一つとなっている。
朱炎氏によると、日本では、構造調整と改革の歩みが遅いことが、新興産業の国際競争力が低い重要な原因となっている。日本のバブル経済後の構造調整は、企業の過剰債務や過剰人員、過剰生産力の解決を中心としたもので、2004年から2007年までの景気サイクルをもたらしたが、現在の構造改革はまだ小規模のものにとどまっている。
長谷川克之氏は、日本は、製造業の「一本足」に依存していたのではうまく行かないと強調する。解决の待たれる課題の一つは、産業の多様性の実現だ。サービス業やIT産業の発展を加速するには、手かせ足かせとなっているさまざまな古い規則ややり方を改革する必要がある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2017年9月7日