2017年のノーベル文学賞は5日、日系英国籍作家のカズオ・イシグロに授与されると発表された。
1982年、当時28歳だったカズオ・イシグロは、『遠い山なみの光』で登場し、人びとに衝撃を与えた。カズオ・イシグロはその後、一連の作品で重要な文学賞を次々と獲得し、英国の移民作家の三傑の一人とされ、世界の文壇に名を轟かすこととなった。カズオ・イシグロは、「記憶、時間、自己欺瞞」というテーマを掘り下げ、優秀な作品を次々と生み出し、自らのスタイルを確立し、ノーベル賞の候補として取り沙汰されることとなった。
「うまい文句」は苦手 作りたいのは「おもしろい世界」
カズオ・イシグロは5歳で両親とともに日本から英国に移住した。英語での創作で世界最高の文学賞を受賞したイシグロだが、その文体は物議をかもしても来た。
「シンプルであっさり、ゆったりとしている」と褒める人もいれば、「陳腐で内容に乏しく、あまりにもつまらない」とその表現を酷評する人もいる。カズオ・イシグロの文体は確かに複雑ではなく、見栄えを追求するものではない。
カズオ・イシグロは実際、自らの言語能力の限界を認識している。2005年に英国メディアの取材を受けた際には、「マーティン・エイミスやサルマン・ラシュディのように生き生きとした文章を書くことはできない。文章能力に長けた作家の作品を読むのはもちろん楽しい。だが私が尊敬するのは、全局を見通す強い目を持った作家だ。興味深い別世界を作り出すことのできる作家が好きだ」と率直に語っている。
カズオ・イシグロは確かに、長年にわたって自らの限界を突破し続け、印象深い世界を一つまた一つと作り出してきた。