李克強総理は21日午後に人民大会堂で、日本経済界代表団と会談した。これは中国共産党第19回全国代表大会で新たな中国最高指導部が発表され、第4次安倍内閣が誕生した後の、中日両国間の一大事だ。アジアの2つの最大経済体間の交流が、地域経済の発展に影響をおよぼすことは言うまでもない。中国側も近年稀といえる厚遇でもてなした。(筆者・文豊 南京大学歴史学院博士課程学生)
今回の日中経済協会の背景となっているのは、トランプ米大統領の強行「集団離脱」だ。これにより米国を含むTPPを利用し、経済・貿易面で虎の威を借る狐になり、中国に対抗するという日本の夢が瞬時にして潰えた。2週間前にベトナム・ダナンで開かれたAPEC会議中、カナダの首相が回避したことから、米国不在の簡略版TPPを強行推進するという安倍首相の小さな目標が空振りに終わり、気まずい結果となった。
そのため経済が回復し輸出が力強く成長するなか、日本の官民は巨大な中国市場の日本経済への客観的な影響に目を向け直すことになった。ところが中日関係が根本的に改善されぬなか、いかに中日間の経済・貿易交流及び協力を促進していくかは、安倍首相の政治の智慧と経済管理能力の試練となる。
中日両国の積極的な交流が常に民間レベルに限られるならば、これが根本的に中日関係を改善することはない。また両国が政治面で相互衝突するリスクが蓄積され続けることになる。このリスクは両国の日常的な経済交流の規模によって決まるのではない。両国の政治関係の持続的な冷え込みにより周辺環境が持続的に悪化し、一部の危険要素へのコントロールを徐々に失うことによって生じるのだ。
また中日両国の民間が経済・貿易協力を共同促進する一方で、中国が日本との経済・貿易関係において、未だに産業チェーンの川下にいるという国情に変化が起きていないことにも注意が必要だ。中国が日本に輸出する製品の科学技術付加価値は、全体的に見て逆を下回っている。これは今後長い期間に渡り、中国の一部の工業既製品のコア技術で、日本に対して経路依存性(Path dependence)を持ち続けることを意味する。