Lumadaで革新を推進
日立グループは1980年代にテレビや冷蔵庫などの家電製品で中国市場に進出し、有名高級ブランドとして中国人消費者の間で好評を博した。しかし日本の家電業界は今や全体的に低迷しており、当初より全体に占める割合の低かったこの事業はほぼ停滞している。日立の中国事業で最も高い割合を占めているのはエレベーターで、売上全体の約3分の1を占めている。これに続くのが自動車部品、化学工業・金属材料、新幹線用モーター、銀行ATMシステムなどとなっている。日立は今後も従来より強みを持つ分野の強化を続けるが、これらの製品は一般人向けに直接販売されるものではないので、日立の具体的な事業については人々によく知られていない。
中国経済の発展に伴い、人々のモノの水準が徐々に高まっている。日立グループは、現在の中国社会が必要としているのは一般的な廉価品ではなく、よりスマートで安全で健康的な社会環境、より先進的なサービスの理念、よりフレキシブルで効率的なソリューションプランであることを意識し始めている。これを背景とし、2016年5月にIoTプラットフォーム「Lumada」がグローバルのデジタル化とともに誕生した。
日立製作所執行役専務の小島啓二氏によると、LumadaはIT・OT技術を基礎とし、人工知能(AI)、データ処理、ビッグデータ分析、ロボット技術、即時制御技術、情報安全を集約している。各種データをリアルタイムで迅速かつ総合的に分析し、分析結果を可視化させることができる。その製品ラインナップは、公共安全、スマート都市建設、エネルギー持続及び再生、スマート交通、精密農業・製造、汚水処理・建築システム、環境にやさしい採掘などのサービスとソリューションプランを網羅している。
日立グループは現在、同プラットフォームを日立が運営を支援する中信恵州病院の画像診断センター(PET-CT)、重慶市関連部門と協力し、路線バス6000台の画像データ分析プロジェクトに応用している。また日立が重慶市と広州市増城区で設立する自動車部品製造メーカーにも、Lumadaが使用されることになる。
小島氏は「LumadaはIT・OT技術に基づくものだが、中国のIT技術は今や非常に発展している。中国のIT企業と事業提携することで、IT・OT技術が共に創出する価値を効果的に統合したい」と話した。