米国のTPPからの離脱を受け、欧州連合(EU)と日本が新たな手を打つことを決意したようだ。EUと日本は8日、自由貿易協定の交渉を妥結し、6億人をカバーする世界最大の自由経済圏を構築することで同意した。経済・貿易規模は世界経済の30%を占めるものとなる。ロイター社の報道によると、この措置は、トランプの保護貿易主義の立場を双方が拒否することを示すものともなる。
EU最大の取り引きとして4年をかけて実現されたこの協定は、関税の削減や標準や規定の導入、公共調達市場の開放をねらいとしている。協定の発効後、双方は、即時または段階的にほとんどの関税を撤廃することとなる。日本は、EUのチーズに対する30%の関税とワインに対する15%の関税を免除し、EUの日本への豚肉と牛肉の輸出の増加を許し、EUが日本で大規模な公開入札を行うことを許す。見返りとして、EUは、日本の自動車に対する10%の関税、自動車部品に対して特別に課している3%の関税を免除する。
現在、人口約1億2700万人の日本は、欧州の6番目の輸出市場となっている。EUは、今回の合意を通じて対日輸出を刺激することを望んでいる。関係当局者の分析によると、今回の合意によって、毎年10億ユーロにのぼる関税が撤廃され、食品や薬品、医療サービスの輸出が推進されることとなる。
またEUは日本にとって3番目の貿易パートナーであり、このうち自動車貿易はEUへの輸出額の16%を占め、日本のEUに対する最大の輸出品の一つとなっている。日本の7大自動車メーカーのうち4社は、欧州での販売量が世界の販売量の10%以上を占めており、市場の重要性は言うまでもない。今回の合意は、日本の自動車のEUでの価格競争力を高めるものとなる。
大きな流れは決まったものの、交渉には依然として障害が存在する。8日に発表された協定では、EUと日本は投資家保護の面では合意を達成しておらず、日本側は、EUが採用を支持する新型の投資裁判所制度によって申し立てを処理することを望んでいない。セシリア・マルムストローム欧州委員(貿易担当)は、これについては来年初めにさらに立ち入った議論が必要だが、協定のほかの部分はすでに形が整ったとしている。