中国の動きが最大の影響要素に
調査結果によると、調査対象者の企業の2018年の業務にとって最大の不安定要素は何かという質問に対しては、3カ国の調査対象者は、中国経済の成長率の鈍化、欧米の金利引き上げ、大規模なM&Aなど業界地図の変化をすべての要素の先頭に挙げた。
このうち中国の調査対象者の半数は、中国の経済成長率の鈍化を所属企業の業務の不安定の最大の要素として選んだ。また24%の中国の調査対象者は、米国と欧州の金利引き上げを第二の要素として選び、国内政策の不安定を選んだ調査対象者は23%だった。
韓国の調査対象者は、所属企業の業務の発展に影響する最大の要素として「米国と欧州の金利引き上げ」を選び、この比率は57%に達した。中国経済の成長率鈍化の影響を受けると答えた調査対象者の比率も42%に達した。大規模M&Aなどの業界地図の変化や国内政策の不安定、朝鮮による頻繁な核実験という3つの選択肢を選んだ比率はいずれも3割前後だった。
日本の調査対象者の考える最大の影響要素は中国経済の成長率鈍化で、この比率は48%に達した。これに続く35%の調査対象者は「わからない」を選び、日本の調査対象者の間では、企業に影響する不安定要素に対して明確な態度を持っていない人の割合が高いことがわかった。また23%の調査対象者は朝鮮による頻繁な核実験、19%の調査対象者は欧米の金利引き上げを、所属企業の業務に影響を与える重要な要素として挙げた。
企業の不安定要素に対して3カ国の調査対象者の見方が異なることについて、白明氏は、中国が国内要素を最大とみなし、日韓が海外の要素に注目しているのは、世界第二のエコノミーである中国が、不動産や自動車、情報化など本国経済を支える大量のビジネスチャンスを生むことができるためだと指摘する。韓国経済は輸出にリードされていることから、欧米市場や金利に対する関心が高い。日本企業は韓国と比べるとより強く、中国発展のスピルオーバー効果がより顕著となっている。中国と日本の経済・貿易は最近上向きの兆しを示しており、日本経済は中国との結びつきが強いことから、中国に自然と関心が集まっている。
韓国経済研究院の宋元根・副院長は、対外依存度が比較的高い韓国経済は世界の貿易の影響を大きく受け、回復と成長のためには政策による支援が必要となる。グローバルな競争の中でポジションを獲得するため、米国と中国の企業の多くはM&Aを行っている。一方、韓国政府は、法人税の引き上げや最低賃金の引き上げなど労働力コストを高める政策を実施し、懸念を呼んでいる。
宋元根氏によると、2017年には、中国との関係悪化で経営活動に影響が出たという韓国企業が34%に達しており、今後は指導者の間で疎通と連携を強化する必要がある。中国との関係を改善し、自由貿易の推進を米国に説得するため、韓国政府は、より強い指導力を発揮し、外交面での努力を進めなければならない。これと同時に、貿易障壁を減らすためには、FTA強化などの自由貿易措置が必要となる。企業家も、中国市場に依存しているだけではなく、ベトナムやインドなどの新興市場も積極的に開拓しなければならない。