映画「大寒」(撮影・楊傑英)
北京大学芸術学院の陳旭光・副院長は10日午後に同大学で開催された映画「大寒(Great cold)」の映画鑑賞セミナーで、 「一人の人間、一つの民族には、完全な記憶が必要で、選択的に記憶してはならない。慰安婦をテーマにした映画は民族の記憶をより完全なものにする。映画『大寒』はそれにあてはまり、民間の表現方法を通して、当時の記憶を蘇らせている。その悲痛な歴史は全ての中国人の歴史であり、民族記憶共同体を構築しなければ、国家のために命を捧げる人が出たり国民が苦しむということが二度と起こらないようにできない」と語った。中国新聞網が報じた。
慰安婦をテーマにした映画「大寒」は、山西省陽泉市盂県の元慰安婦・崔大■(■は女へんに尼)さんが屈辱を受け、必死に訴訟で戦い続けた生涯を中心に、中国で慰安婦問題を調査する張双兵さんの視点からストーリーが展開されていく。
張さんは1982年以降、山西省で生存する元慰安婦の女性127人に出会い、彼女たちが話した内容を本にまとめた。その後、張さんは元慰安婦の女性16人と日本に何度も行き訴訟を起こした。訴訟は敗訴となってしまったものの、張さんは今でも争い続けている。
そんな張さんは、「『大寒』は1月12日に公開される。元慰安婦の女性127人のうち、126人が未練を残して亡くなった。35年争い続けている理由は、日本政府が、元慰安婦の女性に対して公正な扱いをすることを願っているから。でも、その願いは未だにかなっていない」と訴えている。
そして、「一人でも多くの人が同作品を通して、その歴史について熟考することを願っている。『大寒』は、亡くなった元慰安婦の女性を悼むための作品。今後も、元慰安婦たちの子孫と共に戦い続ける」とした。