二、退職年齢の引き上げ
今日の日本:1970年代、日本では退職年齢が55歳と規定されていた。これが80年代には60歳に引き上げられ、今ではさらに65歳に引き上げられている。2013年の「高年齢者雇用安定法」の改正法が正式に実施され、企業には、定年を迎えても勤務の継続を希望する65歳以下の社員の再雇用が義務付けられた。
明日の中国:人口の高齢化が加速する中、中国も現在、退職年齢を漸進的に引き上げるなどの応対措置を検討している。国家人力資源・社会保障部によると、退職年齢引き上げ案は来年正式に打ち出され、5年前後の移行期を取り、2022年には正式に実施される見込みだ。
三、年金の多元化
今日の日本:日本の年金には主に3つの形式がある。第一に、国民年金。日本の法律は、一定の年齢の国民は国民年金に入らなければならないと規定している。保険料納付期間が25年以上に達し、65歳に達した高齢者は皆、国民年金を受給できる。第二に、収入とリンクした厚生年金と共済年金。国民年金への参加を土台として、企業従業員や公務員など身分に応じて厚生年金や共済年金に加入する。第三に、さまざまなタイプの企業年金や商業年金。企業と個人が自由に選んで加入するもので、私的年金に属する。
明日の中国:中国の現行の養老保険体系の本質は、現在の若者が現在の老人を養うことにある。若者と老人の比率のバランスが崩れれば、このような体系の維持はますます難しくなる。
2018年1月3日に中国社会科学院世界社会保障研究センターが発表した「中国養老金精算報告2018—2022」によると、中国では2018年、2人以上の納付者が1人の退職者を養っていることになるが、2022年になると、2人に満たない納付者が1人の退職者を養うこととなる。
基本養老保険基金の不足などの問題に対応するため、中国は、一部の国有資本の移転を通じて社会保障基金を充実させているほか、職業(企業)年金の発展を加速させ、個人の貯蓄型養老保険や商業養老保険の発展を奨励している。多くの学者が「国家による養老だけに依存することはできない」と論じているのは、総じて正しいと言える。
四、年金受給年齢の引き上げ
今日の日本:日本の年金制度が維持できなくなっていることから、日本政府は、年金給付年齢を引き上げる法案を制定した。2013年4月から、日本の年金受給年齢は61歳に引き上げられ、その後も3年ごとに1歳引き上げられている。日本の現行の公的年金制度によると、年金受け取りの開始年齢は65歳が基準となる。受給者の希望に基づき、原則的には、60歳から70歳までの間を選んで受給を開始することができる。受給開始の年齢を65歳以降とすれば、毎月の金額は増額され、それより前に受給すればこれに応じて少なくなる。
日本メディアの最新情報によると、日本政府は、高齢者をターゲットとして制定した中長期方針「高齢社会対策大綱草案」で、日本人は70歳以後に年金を受給することを選ぶこともできるとしている。
明日の中国:中国でも近年、養老金の受給年齢引き上げを提案する呼び声が日増しに高まっている。清華大学の養老改革体制案は、2015年から養老金受給を漸進的に遅らせ、2030年までに男女の従業員と住民の養老金受給を65歳からとすることを提案している。
だがこの措置をめぐってはまだ議論が続いている。それぞれの人の身体状况には大きな違いがあるのだから、定年年齢や養老金受給年齢の引き上げにあたっては、受給者の希望に基づき、フレキシブルな政策を取るべきであり、強制的な措置や画一的な措置とはすべきではないという意見もある。人力資源・社会保障部は、各方面から幅広く意見を集めた上で、基本養老金の受給年齢を柔軟に引き上げる政策提案を適当な時期に打ち出す方針をはっきりと示している。