五、介護保険
今日の日本:「介護」とは、世話と看護の中間のサービスである。日本では、介護または援助の必要な65歳以上の老人、特定疾病で介護の必要な40歳以上65歳未満の人は皆、この保険の対象となる。介護は7つのランクに分かれ、それぞれのランクについて、介護保険から支払われる費用の上限が定められている。上限を超えない部分については、個人が10%、国家が90%を負担する。上限を超える部分については、個人が全額を負担する。介護保険の資金調達モデルは「保険+福祉」であり、保険支出の半分は政府の財政、別の半分は保険料によってまかなわれる。国民は40歳になってから保険料を納付する。
介護保険が日本にもたらす経済的な圧力は日増しに顕著となり、2015年末までに、介護保険総費用は約10兆1110億円に達している。日本は現在、いくつかの解決法を積極的に試みている。介護保険料の納付年齢の引き下げ、被保険者の範囲の拡大、個人の自己負担割合の引き上げのほか、民間資本を導入して介護保険費用の圧力を緩和する試みも進められている。
明日の中国:2012年、青島市は全国に先駆け、「長期医療護理(介護)保険制度」を構築した。2016年3月、第13次5カ年計画(2016~20年)は、「長期介護保険制度の構築を検討する」ことを明確化した。上海や南通、成都、広州など15都市が施行地域となり、相次いで実施が始まっている。2017年末に人力資源・社会保障部が明らかにしたデータによると、全国の長期介護保険加入者数はすでに3800万人を超えている。
中国の「長期介護保険制度」は、各省市によってさまざまな重点とモデルがある。青島を例に取ると、青島市の医療介護保険制度は、医療・介護連携施設で発生した要介護高齢者の医療介護費を介護保険の基金給付の対象とするものだ。基本医療保険に加入してる人は皆、介護保険に加入することができる。
六、孤独死
今日の日本:「孤独死」は、日本で作られた言葉で、独居生活の中で病気などで死亡し、生前と死後にすばやい援助や葬儀処理を受けられなかった人を指す。
ニッセイ基礎研究所の調査によると、「孤独死」する日本人の数は過去10年で3倍に増加し、現在では毎年約3万人が「孤独死」している。30年後には日本の3世帯のうちの1世帯は単身家庭となり、「孤独死」する人の数は増えるものとみられる。
明日の中国:人口構造の高齢化と家庭構造の縮小化に伴い、中国では近年、「空の巣老人」(子どもが巣立った後に残された高齢者)の割合が拡大を続けている。2016年の第4回中国都市・農村高齢者生活状况サンプル調査報告によると、中国の「空の巣老人」(高齢夫婦世帯、独居老人)が高齢者人口に占める割合は51.3%で、このうち農村は51.7%だった。 中国では2050年までに、頼れる子どものいない高齢者の数は7900万人を超え、独居老人と空の巣老人は54%以上を占めるとされる。中国でも「空の巣老人」が「孤独死」する現象がすでに出現しており、状況はさらに深刻化する恐れがある。