日本の地方銀行の純利益のうち約13%が、ATMの手数料だ。セブン銀行などの新興銀行の場合は、99%という高い比率に達する。日本でモバイル決済が急速に普及すれば、金融機関の経営が悪化し、その基盤が揺らぐことになる。
しかしながら技術は発展し、時代も進歩している。望むと望まざるとに関わらず、モバイル決済は今後の主流だ。日本の金融機関も十分にこの点を認識しており、自己改革を開始し、大外から一気に追い抜こうとしている。日本3大銀行は今月、統一規格のQRコード決済「バンクペイ」を、来年に正式に導入すると発表した。
また3大銀行は「金融機関キャッシュレス協会」を作り、日本全国の金融機関を導入し、QRコード決済の普及を共同推進する計画を立てている。金融機関による「集団大作戦」が、日本全国で展開中だ。
日本は仮想通貨をモバイル決済普及の武器にしようとしているが、これは日本人の仮想通貨に対する熱狂と関連している。金融庁が発表したデータによると、日本では3月31日現在で350万人が仮想通貨の取引を行っている。うち20代が28%、30代が34%、40代が22%と中心的な集団になっている。
日本円で決済されたビットコイン取引量は昨年、世界全体の過半数を占めた。今年1月になっても、この割合は3割以上にのぼった。つまり日本では仮想通貨の取引人数が多く、年齢が若く、モバイル決済の堅固な基礎を提供できるということだ。
日本は仮想通貨をてことし、金融システム全体の変革を起こすことで、キャッシュレスな新型国家決済システムを構築しようとしている。すでに流通している仮想通貨のほか、日本は数十の金融機関を集め、「Jコイン」と呼ばれる新仮想通貨を発表した。
Jコインは日本の各種実店舗・オンラインショップで使用でき、円などと両替できる。つまり日本は円を「仮想化」しようとしている。Jコインは2020年前に正式に使用開始となり、日本全国のモバイル決済システムに導入される予定だ。
日本が開発中のモバイル決済システムは、既存のモバイル決済のアップグレード版であり、すでに広い利用者の基礎を持つことが分かる。日本の金融機関が推進を加速する決意を下せば、日本社会のキャッシュレス化を推進し、仮想通貨の運用で機先を制し、モバイル決済の「大逆襲」を実現できる可能性が高い。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年5月28日