2017年に中国から米国など海外へ留学した学生は前年比12%増で、過去最高の約61万人となった。中国人留学生はここ数年、年間40万人以上が帰国し、起業する人も多い。中国の実業界で大幅な世代交代を予感させる、海外帰りで30代が中心の企業家たちが新しい風を吹き込んでいる。29日付日本経済新聞が伝えた。
今月中旬、中国南部の広州市郊外の、多くのスタートアップ企業が集まる共同オフィスに拠点を構え、車の自動運転を手掛ける企業「小馬智行科技有限公司」で、1986年生まれの最高執行責任者だという胡聞さんが取材に応じた。
記者は「創業から1年半だと経営は大変と思われる。社員の平均年齢が27歳なら、月給は5000元くらいだが、最初は食べていくのもやっとではないか」と質問した。
「初任給は最低でも月2万5000元からスタートする。特に生活に問題は……」と胡さんはさらりと答えた。
民間企業であれば実力社会の中国だが、これほどの報酬を支払うとは思わず耳を疑った。だが取材を進めると、いまの中国のベンチャー企業の勢いを見せつけられることになった。
胡さんは湖南省長沙市の名門校「雅礼中学」を卒業した。卒業後は米マサチューセッツ工科大学に進んだ。2012年には修士課程を修了。香港の米バンクオブアメリカ・メリルリンチ、中国大手の中国工商銀行を経て、2017年9月から現在の会社に加わった。
まだ何の実績も残していない設立1年半のベンチャー企業だが、高い技術と将来性を評価されている。すでに1億5000万ドルの資金を有力ベンチャーキャピタルのIDGキャピタルや米セコイア・キャピタルなどから得ている。