麗澤大学特任教授 三潴 正道
「中国人と日本人って同じ東洋人だけど本当に随分違うわね」
「中国人も様々だけれどね」
「様々って?」
「だって、中国は多民族国家だし、中国文化自体が融合文化だもん」
[融合文化?]
「そう、色々な文化が集まってできたんだ」
「へえー、そうだったの。いつ頃?」
「紀元前2000年ごろ、今からざっと4000年くらい前かな」
「そんなこと、どうしてわかるの」
「ごく最近の研究で分かって来たんだ」
「面白そう!どんな研究?」
「まず第一に<夏商周断代工程>」
「“夏商周”?“夏殷周”じゃないの?」
「あれれ、中国語勉強してそんなこと知らないの?」
「バカにしたわね!」
「いや、そういうわけじゃないけど、中国では殷のことを商って言うんだ」
「じゃあ、商人って言ったら殷の人になっちゃうわね」
「すごい!それ、知ってて言ってるの?」
「えっ、冗談よ、冗談!」
「冗談じゃないよ!多分その通りさ」
「商人はみんな殷の人なの?」
「商が滅んだあと、彼らが諸国を歩いて物売りをしたから、商人=物売りになったって」
「それって本当の話?」
「という説があるってとこかな」
「ふーん、でも、ちょっと説得力あるわね」
「<夏商周断代工程>で夏王朝は紀元前2000年ころに成立していたことがわかって来た」
「でも、確か、世界史で夏王朝は伝説上の王朝だって」
「うん、商だって実在が確実視されたのは20世紀になってからだ」
「知ってる!甲骨文字でしょ」
「その通り!」
「夏王朝は実在が証明されたの?」
「微妙なところだね。状況証拠ってとこかもね」
「文字があったの?」
「そこだよ、問題は」
「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年6月14日