麗澤大学特任教授 三潴 正道
「じゃあ、先生の家の掛け軸はなんで草を食べていたのかしら?」
「自分で食べてみて、何に効くか試したそうだ」
「もし、毒が入っている草を食べたら大変だわ」
「まさにそれだよ」
「それだよって、まさか…」
「そのまさかさ。断腸草っていう猛毒の入った草を食べちゃったんだ!」
「まあ、じゃあ、」
「そう、」神農氏はそれで腸がズタズタになって死んじゃった」
「可哀想に!」
「でも、神農氏のお陰で人間はたくさんの薬を手に入れたってわけ」
「そう言えばうちのおじいちゃんもずっと漢方薬を呑んでいたわ」
「漢方薬は今でも有用だからね」
「中国でもまだ盛んなの?」
「厳密にいうとね、“漢方” っていうのはもともと日本の東洋医学のことらしい」
「ほんと?」
「うん、もちろん、もとは中国から伝わったんだけど」
「日本でも独自に深化したのね」
「そう、だから、ツボも名前は同じでも場所が違うこともある」
「でも、中国でも漢方って言ってたような気がするけど」
「最近はそう言ってしまうこともあるようだね」
「日本の漢方薬の原料は中国からきているんでしょ?」
「もちろんさ。中国では最近中医学の発展に力を入れているからね」
「じゃあ、中国からお薬の原料が手に入らなかったらどうするのかしら」
「その点は日本もいろいろ工夫しているんだ」
「どんな工夫?」
「日本でも各地で栽培が始まっている。四国には大きな生産基地もできている」
「へえ、抜かりないのね」
「中国でも最近需要は増えているんだ」
「なぜ、需要が増えたの?」
「国が中国医学と西洋医学の結合を推進しているからさ」
「中国医学と西洋医学ってどう違うのかしら?」
「西洋医学は悪いところを切り取ったり、どちらかと言えば対症療法だ」
「中国医学は?」
「自然治癒力を強化して、体を根本から立て直すんだよ。どちらも大事だろ?」
「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年6月14日