中日印や東南アジア諸国連合(ASEAN)などの16カ国は1日、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)閣僚会合を東京都で開いた。会合後に発表された共同声明では、「本年末の成果のパッケージ達成へ注力する」とされ、年内の妥結を目指し交渉を加速する方針が示された。日本の世耕弘成経済産業相も会合後の記者会見で「年末の合意を目指す」と表明した。日本メディアが伝えた。
RCEPが合意に至れば、世界の人口の約半分、国内総生産(GDP)と貿易額の3割をカバーする自由貿易圏が誕生することになる。その規模は11カ国が参加する「環太平洋経済連携協定」(TPP)を上回り、企業の海外進出などで日本に大きな利益をもたらす。安倍晋三首相も「自由でルールを守る公平な市場の構築」を呼びかけた。RCEPが合意に至れば、保護主義を強める米国をけん制できる。
米国のTPP離脱後、日本はTPP11の発効を促してきた。TPPを通じ高水準の自由化を実現し、新興国と足並みをそろえることができれば、RCEPを推進する際にも中国やインドなどに高水準の自由化枠組みを打ち出しやすくなる。
数多くの課題
中国はRCEPの合意に積極的な態度を持つが、この目標を実現する上で数多くの課題に直面すると分析されている。
RCEPの交渉は5年以上続いているが、結果が出ているのは18分野のうち2分野のみだ。個別の条項を見ると、各国の対立が依然として存在しており、合意の目標時間(11月)まで残すところ約4カ月のみとなっている。貿易額などがどれほど大規模であっても、自由化水準が低ければ加盟国が得られる利益は非常に限定的になる。そのため内容の充実化により、早期合意を目指す必要がある。
RCEPの交渉は2013年に始まった。2015年と16年には年内合意を目指していたが、自由化水準の食い違いが解消されなかった。
合意が難航しているのは、自由化の程度に慎重な態度を持つ中国、インド、ラオスなどの国も交渉に加わっているからだ。日本は「TPPの水準を求めないが、RCEPは一定の内容を持たなければならない」(経済産業省の関係者)という考えを持っている。立場的には、合意を優先的に考えるASEAN諸国との間に食い違いを残している。
電子商取引について、日本と豪州は越境データの自由な流通を求めているが、中国は国によるデータ管理を主張している。知的財産権について、日本は海賊版を厳しく取り締まろうとしているが、緩やかなルールを作ろうとしているインドなどとは対照的だ。