中国院士の師
ある日本の有名化学者・教育者は毎年、ノーベル化学賞の有力候補になっており、教育した中国人留学生のうち3人が中国科学院院士になっている。彼は日本の化学界で有名な藤嶋昭氏で、弟子である中国科学院院士の劉忠范氏から「現代光電化学の定礎人」と呼ばれている。
藤嶋氏は約40年間で38人の中国人学生を教育した。彼らの多くは現在、中国科学技術界の傑出した人材だ。うち姚建年氏、劉忠范氏、江雷氏は中国科学院院士(アカデミー会員)になっている。
藤嶋氏は新華社からのインタビューに応じた際に、愛弟子の成果について「院士は中国科学技術界の最高の栄誉で、彼らが院士になれたことは素晴らしい。私も非常に喜んでいる」と誇らしそうに語った。
姚氏は次のように振り返った。初めて東京に来た時には何もないアパートで暮らしていたが、藤嶋氏が自ら冷蔵庫などの家電を届けてくれ、家庭内の集まりにもよく招待してもらった。この温かな配慮により、故郷を遠く離れた寂しさが解消され、学習と研究に専念することができたという。
劉氏は「藤嶋先生が私たちを科学の世界に招待してくれた」と話した。劉氏が1993年に日本を離れ北京大学に戻る時、藤嶋氏は64箱分の計器・設備・材料を送ってくれた。「これらの計器・設備・材料が届くと、私の北京大学化学院の実験室があっという間に国内一流になった」
藤嶋氏は古代中国の賢人の思想を尊重しており、現代の科学研究者に啓発をもたらすと考えている。藤島氏は『論語』などの思想書の研究を続けており、かつ『やさしい 科学者のことばと論語』などの著作を共同出版している。これらの著作には日本人学者の中国の古典名作に対する解釈、科学者である藤嶋氏本人の中国の賢人の格言に対する思考が含まれる。藤嶋氏は中国の科学研究者も、自身の著作を読むことを願っている。
76歳の藤嶋氏は今年3月に東京理科大学の総長を退任し、「名誉顧問」になった。しかし藤嶋氏は科学研究を続けており、引退するつもりは微塵もない。藤嶋氏は中国の科学技術の急成長について、次のように話した。中国政府は科学研究を非常に重視しており、長期的かつ安定的な科学研究政策があり、さらに多くの資金を投じている。中国には日本の10倍の科学研究人材がいる。そのため中国の科学研究成果が自ずと増えている。中国の科学研究者は今後、多くのノーベル賞を受賞できる。その中には自分の中国の弟子が含まれるかもしれない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2018年10月24日