第1回日中第三国市場協力フォーラムが開催 期待される両国企業の実務協力の拡大=日本専門家

第1回日中第三国市場協力フォーラムが開催 期待される両国企業の実務協力の拡大=日本専門家。

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発信時間:2018-10-29 14:50:55 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 

日中経済協会

調査部長 高見澤学

 

 10月25日から27日まで、安倍晋三首相が7年ぶりに中国を公式訪問した。今回の安倍首相訪中については、日中平和友好条約締結40周年という歴史的な節目とも相俟って、日中関係の更なる改善と発展に対する両国各界の期待は思っていた以上に高く、その点は両国メディアの報道をみても明らかであろう。


 中国滞在期間中、安倍首相は習近平国家主席、李克強国務院総理とそれぞれ首脳会談を行い、政治・外交、経済など幅広い分野で意見交換を行い、日中関係が既に正常な軌道に乗っていることを、双方は確認した。日中関係が既に正常な軌道に乗ったとの表現は、李総理が今年5月に訪日した際、更には9月に日中経済協会合同訪中団と会見した際にも使われていたものである。このように、日中関係改善の進展は、米中貿易摩擦の引き鉄を引いた米国の保護貿易主義的発想に対するけん制にもなり得るだろう。


 日中間の経済関係の面では、今回の安倍首相の訪中に伴って日本経済界から中西宏明経団連会長をはじめ500人余りの幹部・関係者が北京に集結し、25日夕方の「日中平和友好条約40周年記念レセプション」に出席したほか、26日に開催した「日中第三国市場協力フォーラム」には、日中合わせて1,400人余が参加し、情報収集と意見交換を行った。そして、メインイベントである午前中の全体会議には安倍首相、李総理も揃って出席、挨拶を行った。


 今日の日中両国を巡るビジネス環境の変化をみると、従来の日中経済協力の方式・分野には限界を感じざるを得ない。日中経済の更なる発展と拡大を図るためには、日中両国企業による第三国市場での協力という方向性は、自然の成り行きだったのかもしれない。現在、情報通信技術や物流産業の発展によって、世界の国々とのアクセスがより近くになり、人々の生活スタイルや企業の生産活動が大きく変わりつつあり、今後の経済協力の在り方にも大きな変化が生じている。その新たな問題解決のキーワードは「グローバル化」と「イノベーション」の二つに集約されると言えるだろう。第三国市場協力は、これら二つのキーワードを体現するには格好の機会である。


 日中経済協力における理想を言えば、日中両国企業の優位性を発揮し、相互補完の協力を進めるという表現になるだろう。しかし、その実現には多くの困難が待ち受けている。そもそも日本企業と中国企業のそれぞれの優位性とは、具体的に何を指すのだろうか? 一般論では、日本企業は要素技術に優れ、IoTやビッグデータ、AI等のバーチャル空間と実体経済というフィジカル空間との融合を得意とし、豊かな海外ビジネス経験を有しており、一方、中国企業は近年話題の電子商取引やモバイル決済等のニュー・エコノミー分野で先行し、意思決定の速さや比較的容易に実証試験が行えるビジネス環境など、日本企業にはない優位性が指摘されている。それでは、こうした日中双方の優位性を活かし、かつ日中両国と対象国に利益をもたらすWin-Win-Winの具体的なプロジェクトが簡単に創出できるのだろうか?


 今回の第三国市場協力フォーラムで、李総理は、日中両国企業による第三国市場の協力のポテンシャルは大きく、双方の意欲が感じられると述べ、多種多様な方式による協力の可能性に期待を寄せていた。具体的な協力については、市場主体である企業同士が決めるものだが、各企業のビジネス戦略や求める利益の内容、権利及び義務等が複雑に絡み合ってしまうことから、プロジェクトの創出はそう簡単でないことが分かる。そこに高い次元からの日中両国政府・対象国政府による政策的・制度的支援が重要になる。


 今回のフォーラムでは、「交通・物流」、「エネルギー・環境」、「産業高度化・金融支援」、「地域開発」の4つのテーマで分科会を行った。しかし、日中両国による第三国市場の協力分野は、これらに限られたものではない。両国企業が国際スタンダードに基づき、自由に経済活動が行うことができるビジネス環境の下、新たな発想・方式・分野での実務協力が広がることを期待するものである。



「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年10月29日

 


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