日本の安倍晋三首相の訪中成功を契機とし、両国関係の風雨が過ぎ去り徐々に虹が出てきた。日本側は両国関係を競争から協調、互恵協力に変え、互いに脅威にならないことを願っている。中国側は歴史や台湾などの敏感な問題の適切な処理、互いに脅威にならず協力パートナーになるという政治的な共通認識を実践することを強調している。ところが両国が真の和解を実現するためには、さらに現実を直視し困難を乗り越えなければならない。
まず、日米同盟という戦略的な前提を直視しなければならない。日米同盟は実際に存在する、戦後の米国による日本占領を背景に形成されたものだ。米軍基地が日本各地にあり、日本の一挙手一投足が米国に把握されている。国交正常化後、中日両国は世々代々の友好の願いを示し、同時に現実的な考えに基づき日米同盟には触れなかった。この同盟は日本にとって、いわゆる「普通の国」になることを制限する足かせであり、その防衛政策の重要な一環でもある。日本は対外戦略をどのように調整する場合も、必ず米国の事情に配慮しなければならない。これは中日関係も例外ではない。例えば日本は近年、米軍の南中国海におけるいわゆる「航行の自由作戦」への参加を拒否しているが、そこに赴き活動せざるを得なくなっている。これは中国に圧力をかけ、米国側をなだめるためでもある。安倍氏の訪中から帰国後、NHKは「かが」が南中国海で中国の「蘭州艦」に追跡された動画を放送したが、これは実に意味深長だ。安倍氏の訪中最終日の10月27日、トランプ米大統領は日本製品に20%の関税を導入すると発言した。安倍氏は29日にインドのモディ首相と会談した際に、日米印豪戦略協力について強調した。日本の外交の「手が回りきらない」苦しい現状を感じ取ることができる。
次に、平和と協力という2つの基本的な目標を重視しなければならない。日米同盟に触れないという前提があっても、中日両国は関係を改善できないわけではない。国交正常化の際に、両国は社会制度が異なっても平和友好関係を構築できる、構築すべきという共通認識を形成し、さらに両国関係を恒久的な平和友好関係と位置づけた。互恵協力について、田中角栄はかつて「日中両国の国交正常化において最も評価に値すべきことは、中国側が日本に対するすべての戦争賠償の請求を放棄したことだ……(中略)……日本は中国に経済協力を行うべきだ」と発言した。日本側は1979年より、中国側に約320億ドルの政府開発援助(ODA)を行い、中国も日本に大きな市場を開放した。両国間の貿易額は現在、3000億ドル以上にのぼる。中日関係は現在、正しい軌道に戻っている。日米同盟を前提としながらも、中日の実務的な協力には高い将来性がある。