メイド・イン・ジャパン、良心ではなく監督が品質を維持

メイド・イン・ジャパン、良心ではなく監督が品質を維持。メイド・イン・ジャパンはかつて神格化された。その製品の高品質は、日本に特有の「匠の精神」によるものとされた…

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発信時間:2018-12-08 09:00:00 | チャイナネット | 編集者にメールを送る


 次に、比較的「うるさい」日本の消費者だ。消費者が品質に厳しければ、生産者は消費者の望みに合う商品を提供しようとする。これは不正を力強くけん制する。日本人は世界で最もうるさい客と呼ばれている。これにより生産者は品質、包装、サービスなどの水準を高め、消費者の歓心を買わなければならない。そのため高い品質は、目の利く消費者を必要とする。


 それから、ブランド意識だ。日本は成熟した製造大国であり、長年の蓄積により多くの産業分野で高い影響力を持つブランドが形成された。これらのブランドの無形の価値は、製造者に尽きることなき利益をもたらす。不正は一時の利益しか生まないが、長期的な利益を失う可能性が高い。そのため多くの生産者はブランド価値を守るため、品質面でもこだわり抜こうとする。


 それならばなぜ、現在の多くの不正問題が生じているのだろうか。楽して儲けようとするのは商業社会の天性であり、監督がなければ多くの企業が不正に手を染める衝動を持つだろう。上述した外的な制約は、メイド・イン・ジャパンのこの天性と衝動を強く抑制している。近年多発している不正も、この外部監督との間に大きな関係を持つ。


 新世紀に入り、中国などの新興国の経済急成長に伴い、日本経済にも大きな変化が生じた。競争力の低下により、日本メーカーは携帯電話、パソコン、テレビなどの強みを握っていた産業から撤退している。日本で現在高い競争力を持っているのは、これらの最終製品を生産するメーカーではなく、半導体、カーボンファイバー、特殊鋼材などの中間製品を生産する企業だ。これらの企業は最終消費者と接触しないことから、一部の品質基準を引き下げる。精密機器の検査を受けるか告発されるのでなければ、消費者に直接気づかれることは少ない。この外部からの制約の減少を受け、生産企業は魔が差しやすくなり、一部の人は危険を冒そうとする。


 集中的な発覚は、品質問題が近年になり生じたことを意味しない。例えば神戸製鋼は十数年前から不正を開始しており、タカタには十数年に渡り問題が生じている。上述した日本社会の共同体文化には品質改善を促す一面があるが、企業内では外部の利益よりも内部の利益を重視する、公徳を無視しさらには法律に違反する行為が形成される。一部の人は小さなグループの利益のため、企業全体の長期的な利益を無視する。小さなグループ内の従業員は排斥されることを恐れ、不正行為に自ら関わらないとしても沈黙を維持する。いわゆる「内部告発」は稀なケースだ。そのため過去に問題がなかったわけではなく、多くの問題が明るみに出なかっただけと言える。近年の集中的な発覚は、日本の伝統的な経営モデルに徐々に変化が生じ、内部の制約がそれほど強くなくなったことが原因だ。また内部告発者を保護する法律「公益通報者保護法」は、上述したスキャンダルの発覚を促した重要な存在だ。


 我々はメイド・イン・ジャパンの発覚した問題を、唯物弁証法に基づき見据えるべきだ。その経験と教訓は、我々の参考になる。(筆者・霍建崗 中国現代国際関係研究院日本研究所副研究員)


 「中国網日本語版(チャイナネット)」 2018年12月8日

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